ら10年かかるものを生物学的浄化技術が3年から5年に短縮させる可能性があることを述べた。また、1990年2月28日付けの報告で、「総じて栄養塩の散布が油の生分解を増強するために効果的で、そして環境に安全であると調査結果は示している。」と述べている。
1989年のアプリケーションの評価については、冬の間の作業の中断中にも続けられ、また、Exxon社は実験室のモデル装置での試験で表面の油のみならず、地表の下に埋もれた油のクリーンアップにも生物学的浄化技術が適用できるとの自信を深めた。
このため、Exxon社と連邦政府は、表面の油だけでなく埋もれた油へも生物学的浄化技術の使用を計画した。1989年の夏には、生物学的浄化技術は、油が波によって洗われる海岸線の表面の浄化のためだけに使われたが、このプランでは、栄養塩を洗い流す波が少ない所で、表面下の深い場所の浄化にも生物学的浄化技術の適用を意図している。
1990年夏も生物学的浄化技術が適用され、栄養塩は害をほとんど起こさず、適用された海岸線では適用されていない海岸線より2倍から3倍速く分解できることが報告された。
クリーンアップの結果、US-EPAは、生物学的浄化技術は、Prince William SoundでExxon Valdez号漏洩事故処理のため有効に働いており、そして他の漏洩事故でも使うべきであると評価した。
a. 使用された栄養塩
?親油性液体栄養塩
海岸線に散布すると分解すべき油の回りをコーティングし、周辺の末の中の微生物に必要な栄養素を供給する。"Inipol EAP22"(elf Aquitaine社製、窒素濃度7.4%, リン濃度0.7%に調整)が選定された。
?緩効性固形栄養塩
もともと農業用肥料として開発されたものであり、長期間にわたり少しづつ水中に栄養素を溶解。"Customblen"(Grace Sierra Chemicals社製、窒素濃度28.0%, リン濃度3.5%に調整)が選定された。
b. 主な成果
?親油性液体栄養塩"Inipol EAP22"は、砂・砂利又は小石の海岸線において表面が油汚染された地域で効果があった。
?緩効性固形栄養塩"Customblen"は、砂・砂利又は小石の海岸線において地表表面下(地表から1フィート以内)まで汚染された地域で効果があった。
?Exxon社のレポートでは、この試験に選定された場所の地質条件では、"Inipol EAP22"と"Customblen"の組み合わせは、自然条件よりも分解速度を2倍から3倍加速すると分析されている。
?1989年の9月、10月には汚染された海浜の微生物のうち、油分解微生物が占める割合が増加したが、1990年の夏には、油流出前の状態に戻っていた。このことから、生分解が従来の状態に戻った、すなわち油が分解されたということが言える。