a)栄養塩
もっとも良く研究されており、アラスカのテストでも効果が確認されている。
b)微生物製剤
もっとも良く油を分解する微生物を散布することで、生分解効果を高めることを狙ったものであり、いくつかのケースでは、生分解の開始を早める効果がみられたものの、これまでの現地テストでは、まだ決定的な結果はでていない。これは、ほとんどの場所で油分解微生物が存在するためと考えられる。
?地形、水温などの環境要因
・一般に水温が低い(約10℃以下)と微生物が生育できないため、分解速度が著しく遅くなる。
・海洋はオープンシステムであるので陸地と違い、潮、波等の影響を多く受ける。
・岩地、砂地、砂利などで油の付着・浸透の仕方、処理のしやすさが異なる。
(2)バイオレメディエーションの評価を複雑にしている要因
・バイオレメディエーションのみで浄化が行われるのではなく、他の方法との組み合わせにより、原油が除去されている。
・漂着油は浸透したり、沖合に流されたりするために、バイオレメディエーションでどれだけ浄化したか特定しにくい。
・石油は数千の構成分から成り立ち、分解され易い成分とされにくい成分が存在する。
・さまざまな微生物が分解に関わっており、その過程は、細部まではわかっていない。
(3)栄養塩の商品化について
現在、未知数が多く、期待が集まるバイオレメディエーションを商業化するために、商品がクリアすべき基準作りが行われている。実際には、汚染が発生した地域ごとに最適な対応策が異なるため、汚染地域の状況に応じて最大の効果を生む製品の選択をどう行うかも研究しなければならない。また、一般に広い地域に適用することが考えられているため、バイオレメディエーション製品の大量生産が可能でなければならない。さらに、保存性・備蓄性に優れている必要もある。
栄養塩等の基準を設けるためには、実験室や現地でのテストとともに、油の成分や微生物の性質などを調べていく必要がある。