5-1-2 環境問題を整理する
環境問題を整理し、問題解決への道筋を考えていくと、以下の4つの項目に整理できます(図解参照)
(1)生存の基盤は「自然生態系」である
(2)生態系には「5つの基本要素」がある
(3)自然生態系の破壊には、「直接自然を壊すこと」と、「ゴミ問題」がある
(4)二つの問題を解決するには
1)自然を守り育てる
生きものがつながりあって生きている生態系の仕組みを保つには、自然をなるべく大きなかたまりで残す必要があります。また、自然を守り育てるには、人間によって寸断されてしまった自然をふたたびつなげることが大切です。この「ピオトープネットワーク」の考え方に基づいて、ドイツの各地で実施されている都市計画は練り直されました。私たちの地元でも、自然を守り育てるための地域計画図を作成し、効果的に野生生物と自然環境を守る必要があります。
2)ライフスタイルを転換する
日本は1996年現在、年間に7.5億トンもの輸入を行い、反対に輸出しているものは、0.9億トンに過ぎません。
使う途中で原料に戻す「リサイクル」をいくら進めても、これほどのゴミをなくすことには根本的には役立ちません。なるべくものを再利用することはたいへん重要な考え方ではありますが、それ以前に、私たちはまず「なるべくものを使わず、買わずに過ごす」工夫がなによりも必要です。
経済を優先して、大量にものを売ること、そして安いものを大量に買って物質的に豊かになることを美徳とした社会感覚を改め、環境優先の「低消費社会」を実現することがまず必要です。
5-1-3 環境教育のふたつの対象
(1) 子どもたちを育む
環境教育では、まず子どもたちの時代に貴重な自然を伝え残し、子どもたちの時代には社会が環境優先に転換されていくように目指す必要があります。それには、まず子どもたちに身近な自然や生態系の仕組みについて、早い時期から必要な体験を豊富に提供し、そこに環境教育による意識啓発を組み合わせて、環境に関する実感をともなった意識を育てていくと同時に、一人一人をすべて環境問題の積極的な解決に導く「行動者」として育んでいくことは、たいへん重要なことです。
(2) 指導者を育成する