成長に多額の投資を行い、悪化する環境問題による困難に対処しようとした。しかし、期待されたエネルギー面での現状打破は起こらなかった。ハイレベルの消費を維持するために、先進世界は石炭,石油および天然ガスを燃やし続け、新しい原子発電所を建設せざるを得なかった。発展途上国は、先進各国が出し続ける大量の排出を引合いに出して、排出を制限する条約への署名を拒否した。地球の人口は危機的な速度で増え続けた。このため、世界の資源や地球の生態系は非常に酷使されることになった。その後、地球温暖化、オゾン層の衰退、そして熱帯雨林の破壊によって引き起こされた、生態系の大災害が続いた。
どんどん消滅していく世界の資源を管理するための努力によって、幾つかの原子力紛争が起こった。こうした紛争、そして原子力発電所の多くのメルトダウンによって、広大な地域が放射能で汚染された。
この地球的な状況の結果、戦争や生態学的災害を逃れた難民の大量移住が起こった。北の豊かな国々は大規模な災害の難を逃れ、地中海やアフリカからの数百万の難民を受け入れなければならなかった。この人口急増への対処に伴う問題は増大の一途である。
3)自分達さえよければ
当初、このビジョンは「地球上の地獄」のシナリオと多くは共通点していた。技術と経済の進歩の力を借りて、環境的な困難に対処する膨大な努力が行われたが、これは部分的にしか成功しなかった。物質的な快適さを維持するため、環境を破壊する製造、輸送およびエネルギーシステムの操業が続けられた。排出制限への第三世界の支持を取付けることは不可能とわかり、我々が自国で一部の環境問題を軽減するのに成功した事実にもかかわらず、地球的な環境危機は加速した。
この地球環境の破壊が先進工業各国をも脅かし始めた時、強大で決然とした指導者を求める有権者の声が次第に大きくなっていった。このため多くの国々では、一部の州で実質的な独裁制が行われるほど、民主主義は衰弱した。
自分たちの物質的な幸福と物理的な快適さへの信奉が脅かされ、人々は次第に難民に対して否定的になり、一部には徹底した人種差別に訴えるケースも出てきた。難民政策は一般的に厳しくなり、比較的豊かな先進工業各国が合同で強力な軍隊と経済ブロックを形成して自分たちの安寧を守ることに専心した。その結果、発展途上国はさらに貧困に沈み、これらの国々の人口増加率は相変わらず高かったため、地球資源への圧力が高まった。途上国が地球環境の破壊に及ぼす影響はますます大きくなった。そのため今度は工業国が、軍事力と経済力を使って世界の主要な原料や資源の完全な支配権獲得に走ったが、発展途上国は貧困に置去りにされた。途上国が先進工業国と同じ道筋で発展する道は閉ざされた。なぜならそのような発展は地球環境の受け入れ難いレベルの破壊をもたらすからである。
2050年までには、貴方の国は100パーセント計画経済で運営され、資源の面では世界で最も豊かな国のひとつである。コンピュータ化された管理監督ネットワークが確立され、資源の消費を監視し環境破壊を抑制している。