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に取り組んだ時、プロジェクトが特に「生きたものになった」という一言で、他の数人の教師のコメントを要約した。

*環境問題への意識は、プロジェクトが企図した通りに向上された。活動の自然の結果として、適切な知識が紹介され、生徒はここから自分自身のライフスタイルや広く地球規模の問題に関連付けることができた。また、関与した生徒は、環境問題が相互に関連している状況を、通常の授業の時よりももっと完全に認識することができた。次のコメントは、関与した多くの教師が感じたジレンマを要約したものである。「どの活動も、境界線を引くことが難しかった。一つのことが自然に他のことへと発展していった。これは刺激的だったが、同時に運営が難しかった。」

*倫理的な示唆が目的の中に不可欠であるということは、プロジェクトの開始時点で明言されていたが、これは作業の進展につれて自然に生まれてきたと全員が報告している。このアプローチは、個人行動や組織管理に関する倫理的な事柄を討論する土台を提供した。

*生徒は、プロジェクトの各側面に密接に関るようになり、特定の課題を、自分のものとして責任を持って話し合い完成させることができた。人間関係および市民意識の技量は、プロジェクトが行われた方法の自然の結果として、育成されていった。

*非常によく意図された環境教育、特に地球的問題に関するものは、生徒の関心を喚起はするが、この状況を何とかするにはどうしたらいいのかがわからないために、いらだたしく、最後には興味を失ってしまうことがよくある。コントロールも全く彼らの能力の届かない場所で行われているように思われる。このプロジェクトで使われたアプローチによって、教師と生徒がこの側面に効果的に集中でき、多くの問題を克服できたと思われる。個人行動や組織管理の変化を監視するプロセスは、コントロールの実感を養うのに重要な貢献をしたと考えられた。

*自己評価は、生徒や教師を含む調整者が、学習したことを熟考し、今後の改善の道を見つけることができる点で、プロジェクトの貴重な部分だと考えられていた。常に与えられた基準を持っていることは、合意した目的を思い出すのに役に立った。生徒からのコメントには、下級性からのものにも、肯定的なものが多く、生徒達はプロジェクトの企画と実行に、より十分に参加できた、すなわち「自分のもの」としての実感を強めこの経験の全体像と理解できたと感じたようだった。

ある学校のベテランの教師が寄せたコメントは注目に値し、ぜひ知っておくべきことであった。教育へのこの種のアプローチに付き物の問題の一つは、こうしたアプローチが人々を変え、その結果、変わった一人一人が、そこで働いたり学んだりしている文化や事情とだんだんと噛み合わなくなっていくということである。これは国家全体としての文化や教育事情のこともあれば、学校や地域の文化や事情のこともある。これが不安感につながる葛藤を生み、学校や家庭や地域社会からの適切なサポートがないと、せっかくの経験が最終的には無益なように見えることもあり得る。この種の活動は、学校の中で、そしてより重要なのは社会の中でだが、態度や行動の変化を引き起こす他の方法と関連させて行われた場合に、より効果的であるように思われる。

 

 

 

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