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期せぬ困難に出会うたび毎に教師にその場ですぐに、かつ、合理的に回答を期待することができない。

このため、MUVINプロジェクトに参加している教師の役割及び生徒の役割は伝統的な授業シナリオにおける役割とは異なっている。教師と生徒の役割は「陰-陽」と呼ばれるような補完的なものであるため、片方の役割を他方の役割を変えることなく意味を持って変更することはできない。

プロジェクト作業の結果は教師が即座の状況が混沌としているように思われる事実及び生徒のクラスまたはグループがしばらくの間型にはまってしまうかもしれないという事実を受け入れるべきであることを学習する必要がある。しかし、このことは通常の、準備が整った、教材を中心とした授業では出会うことのない可能性という面で見る必要がある。更に生徒に対する伝統的な授業方法の影響を過剰評価する傾向もある。

プロジェクト作業が実行されていない数多くのクラスでは、教師が初めから役割を割り当て、この学習方法が普遍的に発展していることを見届けることが重要である。

 

長期的な活動を行うための活動及び能力:

最新式の環境教育に関連して活動する生徒の能力を育成する目的については数多く語られている。これは関係者のみに分かる守秘的なもののように聞こえるが、現実にはそれほどでもなく、一つの例を出して例示することができるものである。

最近、「廃棄物」とか「リサイクル」という用語が明確な作業の話題となってきている。その理由はこれらの問題が将来の環境状態に非常に大きな意味を持っているからであり、同時にこれらの用語は具体的な活動や実際作業への道を示すからである。このことはゴミの袋の中身を調べてカテゴリー毎のゴミの割合を定めることから、地方のコミュニティ・レベルで廃棄物のリサイクルをより進めようとするキャンペーンと同時に、学校においてリサイクルの過程を確立することまで範囲は広い。特にこの種の活動は環境問題とその解決策を生徒が知り、かつ、理解することの助けとなるようにその教育上の価値に基づいて評価すべきである。これらの活動が好ましい方法で事象の成り行きに影響を及ぼす生徒の実際の能力に対してその可能性を増やすかどうかも重要な検討事項の一つである。「長期的」な「能力」も存在する。その理由は現時点の環境問題を解決する実際の責任は現在の生徒に直接引き継ぐだけのものではない。現在の大人の世代はこの責任を放棄することはできない。環境教育は今度は成人する生徒たちに継承される責任と行動の道に集中すべきものである。

政治の社会の問題点を解決する責任を生徒の肩に押しつけるならば、我々が達成しようとすることは無関心と麻痺を引き起こすことになるであろう。その理由はこのようなことをすればそれはある円で見ると「行動を起こす能力」と直径方向で真反対の関係にあるからである。「行動を起こす能力」とは、民主主義的な生活を発展させることに及ぼす影響に必要な人生への情熱と自信を有している後者である。生徒が自分自身の結論を引き出し、物事が成功する方向へ変わるための可能性のある方法について自分の結論の結果を検討でき、具体的な行動も同時に引き出せるように手助けすることが正しい方向へのステップである。

 

 

 

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