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車に乗って、バスもしくは電車であれ、公共の交通機関に乗って、もしくは単に仕事場に歩いて行くかに関わらずである。相反する利益の典型的な例は一般的に、購買力の分配、及び特権もしくは社会的優位の異なるレベルに関係する。

これらの相反する利益を理解するための顕著な点は、話題に上がっている問題に対して、全ての団体を等しく満足させることのできる唯一の解決策は存在しないということである。解決策に到達するためには、関係するいくつかの利益は放棄されなくてはならないということが自覚される必要がある。唯一の解決策としての“最良の解決策”は存在しないが、最も重要だと感じる効果を考慮に入れた際に、それが最も適切であるという信念の下で実行すべきである。

ある特定の問題に関連する様々な利益を表現する人々及び集団以外に、与えられたいかなる問題の解決策にも未来世代の利益という側面を加えることは非常に重要である。これはクラス内で、どの解決策が生徒の孫にとって利益を与えるかについて議論することで行うことができる。この分野では単純な解決策は存在しないかもしれないが、将来の世代の利益に関する問題を提起することで、その問題の長期的な結果を観察する上で役立つ。

 

価値及び倫理

 

倫理は我々が道徳的に正しいか間違っているかと考えるものに関連する;換言すれば我々の価値のことである。自然に対する倫理的な質問は、環境問題にとって中心的である。環境問題に対する適切な解決策を見つけることは、前章で議論されたように、ただ様々な解決策によってどの利益が最適であるかに到達するだけではない。解決策の大部分は、責任の問題である。

責任をもつということはしばしば、我々に即座に影響を与えない決定及び行動の結果のことをいう。責任をもつということはしばしば、利己的とは反対の態度を示すことを必要とする。一般的に言って、政治的意志決定において、責任をもつことは急務である。他の場合では、問題を解決するのにたくさんの人々もしくはグループを結合させる必要があるのにも関わらず、必要レベルの責任を見せない者に対して効果を発揮するような、前もって確立している拘束力がないような場合に、責任の必要性が最も強く感じられる。結局責任は、我々に対する利益が長期的にしか見られないにもかかわらず、ある事柄に対して決定を下したり行動を起こしたりすることなのである。

環境に関連するだけではない交通の問題の例を考えてみよう。デンマークの町の交通の制限速度は、時速50キロメートルである。しかしながら、これはごく少数にしか守られていない;多くの運転手は、制限速度を上回ったからといって警察に捕まることはない。結局、警察はいかなる時にもいかなる場所にいることはできず、また実際には、彼らは法律で定められた制限速度の特定の割合を超えていても黙認してしまう。個人個人の運転手は常に制限速度を遵守することで、都市の自転車の乗り手及び歩行者の安全余裕を増加させ、騒音及び大気汚染を減少させ、一般的に仲間の運転手の安全レベルを増加させるという事実に鑑みて、責任を示すことができる。この責任は、全員が制限速度を守るわけではないという議論にも関わらず、効果がある。責任をもつための別の方法は、

 

 

 

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