全体として見た場合、環境教育はまさに、私の求める網目状に結び合わされた思考の、典型的な例なのです。私達はカリキュラムの継続的追加作業に取り掛かりましたが、ここで私達は、複数の科目を結び合わせる授業を基盤に、全体的なものの見方に添って、環境というテーマを一層明確に考慮していきたいと思っております。私達は2年前に既に、基幹学校、実科中等学校、一般教育ギムナジウム、そして職業学校の為のカリキュラム委員会を組織しました。それには様々な科目の代表者と並んで、環境省からもそれぞれ1人づつの専門家が参加しました。そしてその仕事はそのまま、今始められたカリキュラムの継続的追加作業に受け継がれています。ここでは、特に自然科学の一連のテーマについて、エコロジーの観点を考慮に入れた上で、その重要性を新しく判定していくことになります。
自然保護と環境保護の問題に、総体的に取り掛かるということは、授業を具体的な生の世界に適合させていくということでもあります。実地に即した対応と、行為への志向ということです。環境問題の総合的、包括的な関連について、理論的な知識だけを生徒に伝えるというのでは、十分ではありません。もちろん、しっかりした確かな理論的基礎知識は、エコロジーの問題を見通すのに必要ではあります。
しかし、少なくとも同じ程度に大切なのは、実践的な、行為を主眼とする学習です。つまり、生徒達に、環境を意識した、環境に配慮した振る舞い方と、自発的に環境への責任を負う姿勢を、身につけさせることです。環境教育は、実践的な環境保護でなければなりません。生徒達自身も積極的になり、彼らの環境を自身で意識的に体験し、それを自己責任のもとに作り上げていく場合にのみ、環境教育は豊かな成果を上げることができるのです。この点での学校内活動は多岐にわたっており、ゴミを出さない措置から、環境に配慮したゴミ処理、エネルギー節約、化学製品の使用のできる限りの抑制、更には、学校や教室にもっと緑を入れようという努力に至るまで、実に様々です。このような活動は、「カタストロフ教育学」とは全く正反対のものです。環境教育は、むやみに不安を煽り立てるのではなく、実践的な活動によって、私達の環境への責任を引き受けるように、生徒達を勇気づけるものなのです。そういう理由からも、新しいカリキュラムでは教材の量を減らす努力をしようと考えています。ほかならぬ環境の分野では、プロジェクトに基づく学習が大きな意味を持つのであり、その為の時間と余裕をもっと多く残す為です。
環境保護と、環境に配慮した行動を、通常の授業の枠外で、実践的な視点から教えることのできる施設を、私達はここ数年の間に幾つも作ってきました。
第一に挙げたいのは、1991年11月に開かれた、アーデルスハイムの州立環境教育センターです。この施設は、こういう形ではドイツで唯一のものですが、生徒達はこれにより、実践に重きを置いて、エコロジーと環境保護の問題に取り組むことができるようになったのです。問題の理論的な浸透、敷地や実験室の中での実地作業、自然や社会の体験、個人の「がんばり」とチームワーク、といったことが、ここでは理想的な形で繋がり合っています。教師の補習教育の為の催しも、アーデルスハイム州立教育センターでは既に定着しています。
この施設は、私達の学校の教師や生徒の間で好評を博しております。年間1700人までの生徒達