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すべての年齢層に向け全学科にEEを統合する2つの理由がある。まず、持続可能な開発への貢献に必要な能力、知識、心構え、行動を全市民が学ぶことができるよう環境考察を幅広く統合する必要がある。第二に、教育の機会均等の根本的原則では、良いEEが与える学習の機会を一部の人だけでなくすべての人が利用できるべきだと義務づけている。

少数の意欲的な教師が、一部の学校で良いEEを導入することは比較的容易で、1970年代半ば以来行われているが、そのような教育機会の幅広い統合はかなり難しく長期に渡る仕事であることが立証されている。したがって多くの草の根運動が存在しても、正式な行政政策とプログラムが、意図する開発活動を奨励し、運営されなければならない。中央から政策を始めることが必須である一方、従事する教師や積極的な生徒が良いEEの中核となるので、教師と生徒のイニシアティブの養成と支援が不可欠である。したがって中央推進政策とプログラムの目的は、EEを永久に教育活動に統合するため、教育機関のイニシアティブを支援する制度的フレームワークを創設することである。

教育省と環境省は、環境と開発問題を教育システムと環境管理の全レベルに統合するため、政策と戦略について白書No.46をさらにフォローした。教育省のEE戦略は、能力増進、国際プログラム、各セクター間協力、国のEE計画を通じての学校と学校ネットワークの支援、および準全国的学校行政レベルのEE開発の責任増大に重点を置いている。環境省は、環境専門知識の提供、情報資料の作成、NGO(非政府組織)支援、および全国、地区、地域環境局と協力する教育機関へ機会を提供し、援助と補助の役割を果たす。教育省と環境省の仕事は、他の省、大学、研究機関、教員養成機関と協力して遂行される。

このような努力の結果、明瞭な進展が見られたが、質の高いEEをすべての年齢層の教育活動に十分統合するという目標達成にはほど遠い。現在のノルウェーの教育システムでのEEは、教師と教育機関の高水準の活動を特長としている。学校システム以外で、多くの立役者が、NGO、ビジネス関係、地域の人々、施設を含め参加している。しかし、EEは量的質的にさらに改善されなければならない。

良いEEでは、生徒達は環境の変化を理解するだけでなく、価値判断をし、地域の意志決定に積極的に参加しなければならない。ノルウェーの経験は、多くの生徒達にこのような質の高いEEを提供するには、教育システムそのものを変革する必要があることを示している:義務感、内部の組織、能力水準、および学校外の現実世界との関係である。EE開発へのこのアプローチは、教師が働くシステムの開発を通じて教育実践を改善することを目指しているため、組織的アプローチと呼ぶことができる。したがってEEは、孤立した短期の開発努力ではなく、総合的な教育変革の不可欠な一部として取り扱われる。

組織的アプローチでは、全レベルでEEを推進し、通常活動にEEを義務として十分に統合する制度的フレームワークを創設する試みが行われる。ノルウェーの開発活動は、教育システム自体によって導かれ、学校行政の全国、地区、地方の学校レベルを含む。このアプローチで同様に大切なことは、全レベルの学校システムと一連の共同するパートナー、とりわけ環境局とのあいだに公式のチャネルと協力ネットワークを開発することである。教育システム内、および教育システムと社会のあ

 

 

 

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