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・連続的であること。全ての課目、全ての学年に生徒に奉仕するものであること。

・学際的であること。あらゆる学科から、それらの枠を越えて内容を引き出し、環境教育の中に含むこと。

・経験志向であること。多様な学習環境と教授方法を使って、可能な限り直接の経験や体験を得させること。

このような特性のリストは、チェックリストとして、カリキュラム作成に当たって、各学校の環境教育委員会などで利用されると良い。

(基本思想)

太陽系の惑星のひとつである地球は、宇宙空間を比較的安定したコースで回っている。そうしながら地球の生命維持装置は、太陽エネルギーに支えられながら、地球上の全ての生物生息者たちに必要な空気、水、食物を形成する諸々の科学的物質をリサイクルさせている。地球の地核は、化学燃料、金属、その他の再生不可能な資源を限られた量含んでいる。

人類の文明は、素晴らしい発展をしてきたが、その過程で大きな問題を引き起こしてしまった。国連の環境と開発に関する世界委員会は「我々の共通の未来」と題するその報告書において、次のように述べている。

「科学者たちは、我々の人類の生存そのものに関わる緊急な、しかし複雑な問題を提起し、我々の注意を喚起している。地球温暖化、オゾン層枯渇、農地の砂漠化、等々。我々は、それに対して、より詳細な情報を要求し、諸問題の解決を本来それらの解決に適していない団体や組織に任せてきた。環境悪化は、初めのうちは先進国の工業化の副産物であり、豊かになるための代償程度にしかみなされなかったが、今や後進国の存亡の問題にまで及んでいる。

「環境」は人間社会の活動や野望、必要などと区別され、隔離されて存在しているわけではないし、逆に「開発」も後進国の問題に限定されていず、地球全体の環境と無関係に追求できるものではない。両者は、地球という惑星の上で一体の問題であり、解決も一緒にしかなされない。先進国も後進国も現在の経済的な活動のやり方を永久に続けることは不可能である。自然資源はやがて枯渇し、発展持続など可能でなくなる。その時、人類文明の破滅は目に見えている。

全世界は、持続可能な経済、文化等のシステムを緊急に確立しなければならず、それにはこれまでのような断片的で一時しのぎの、目先の問題だけを見た対処の仕方では全然不充分であり、全体的な、全世界的な、恒久的な解決策を見つけ、実施しなければならない。

問題がいずれも全地球的で起こり、全人類的な存亡、全自然的な生命システムの危機を引き起こしているならば、人間もローカルな規模や専門職業の小さな枠に閉じこもった型の解決では不可能であり、結局多くの人間が全地球的な立場での解決策を講じなければ、ここに危機的状況は一層加速されていくことになる。ここに、環境教育の重要な課題と責任がある。

1977年のトビリシ会議だけでなく、最近では1992年の国連主催のリオ・サミットの「環境と開発に関する会議」でも確認されたように、そして会議で採択された「アジェンダ21」でも述べられているように、「ユネスコの環境教育に関するトビリシ宣言は、「アジェンダ21」の提案の根本原理になっている」のである。

 

 

 

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