3-2 ノルウェー
3-2-1 ノルウェー教育省「教員養成'97」
以下に、1997年にノルウェー教育省より刊行された「NOU」より、教育者養成についての文書「教員養成'97」を引用する。
この「教職養成'97」プロジェクトの目標は、新しい「基礎学校(小/中学校)、上級教育課程(高校)、成人教育課程(大学)の教育計画の基本部分(the general part)」ならびに「基礎学校と高校(上級教育課程)の改革計画」にできるだけ対応するように、教職養成システムを再組織し、その内容を変更することにある。このプロジェクト作業では、それらの改革に基づきそれぞれの教育課程に対応する教職養成課程をどのように変えるべきかを明らかにし、それに則した最も望ましい形の新しい大綱計画(frame plans)の原案を作成せねばならない。更に、わが国の教育制度における情報テクノロジー(IT、information technology)の適用に関して新しく作成された計画において教職養成システムに課された任務を達成するために必要なIT関連課目を設定しなければならない。
このプロジェクト作業では下記の事項について調査する。
o普通教職養成
o基礎学校の小学校(低学年)段階のための再教育
o一般課目と職業専門課目の教員を養成するための教育〔実用教育学的(practical-pedagogical)教育および職業理論的(vocational-theoretical)教育〕
o専門課目の教員の養成教育
(中略)
1.教育界の改革の背景
今世紀は青少年の生活に下記のごとき劇的な変化が起こった。
o昔は、青少年の教育が、大人と共通の生活の場で年齢と技能程度に応じて仕分けされた形で行われていたが、大人の生活とは切り離された学校という特別な場所で行われるようになった。
o実際的な行動が主で、情報に乏しい社会が、行動よりも各種のメディアを介した理論と情報のやり取りが主体になった社会に変身した。
oひとつの価値観が強制される静的社会から、対立する多様な価値観の存在が当然とされる動的社会になった。
o子供の数が多く、家族がそれぞれの家事を分担していた家庭を主とする社会から、息子・娘/兄弟姉妹が少なく、両親が殆どの時間、外で働く家庭を主とする社会になった。
ひと言でいうと、子供たちは実用的な行動をしなくなり、大人の生活から切り離されて、責任感や労働義務とは無関係になった反面、情報量が異常に多くなり、多様且つ対立する価値感に満ちた世界で生きるようになった。
この20年ほどのうちに、先進国では家族構造、勤労生活、居住環境が一変した。それが青少年の成長と教育に強い影響を与えた。特に女性が外で働くようになり、託児所や「子供の家」(学童が下校後