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の変革の重要性も話し合われた。従来の組織体制では、既定のプランや時間割と競争し、他の教員及び学校全体からの支援は受けられず、教員が単独でプログラムを実行する場合がしばしば見られる。この欠点の改善としては、学校組織そのものを環境教育が推進しやすいように変革することが求められる。具体的には、教員や学校全体が、環境教育を教育プランやその他のプランに統合し、時間割に学際的なプロジェクト活動の余地を与え、環境教育を推進する上で必要な能力の育成を保証し、地方当局や地域社会が協力するといったことが挙げられる。

 

【ノルウェーでの事例】

ノルウェーでは、ENSIプロジェクトを12の学校で実施した。

学校の全教員と行政が、3年間教育コンサルタントと密接に組んで活動をした。学校は、環境教育の総合プラン(学校プラン・学科時間割・授業の時間表に統合)を準備し、また地元の利害対立の問題も扱うことから、地方自治体、地元の人々、父兄が協調し活動に取り組んでいる。

プロジェクトを実施する際には、各学校から非常に推進は困難ではないかという意見が多数寄せられたが、一度実施してみると、教員間の連携、児童の自立、学校と地域・行政との密接な連携など、その成果は決定的なものであったことが報告されている。

 

ENSIプロジェクトの第3段階は、すでに1996年に終了しており、教員の研修、学校カリキュラム、ネットワークの3つがテーマになっている。これからとりまとめの会議が開催される予定である。

 

1-3-2 EUにおける環境教育の取り組み

1988年、EU(当時はEC)の環境教育に関する基本方針「Basic text」が書かれた文書がある。これは、すべてのEU加盟国は環境教育を進めるべきで、教員と児童生徒のためにどう環境教育を進めていくか、活動の内容はどうするかなどが明記されたものとなっている。 1996年、EUにおける環境教育活動、環境教育関連コースのガイド文書があるが、これは加盟国の協力によって作成された。その際に、EUは資金提供を行った。

現在はさらにコースの開発を進めており、3,4年後にはEUの全教員が教える内容がまとめられる予定である。

このコースを開発するにあたっては、EUに共通なので少なくとも4国以上の国から専門家が参加することが決められている。

たとえば、「学校を持続可能な共同体としていかに発展させるかというプロジェクト」にはヘルシンキ、ベルギー、スコットランド、オランダの参加がある。2年前にトゥールーズ大(フランス)で始まり、各国が環境問題に取り組むべきだという報告書を出している。

現在、EUが各加盟国に出している文書としては、EUの指令第11号があり、各加盟国がどのように環境教育を進めていくかについて明記している。

 

 

 

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