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1-2 ノルウェーの環境教育の動向

1-2-1 ノルウェーの環境教育の考え方

1972年にノルウェーにおける環境官が新設された。しかし、それに先立つ1970年にはすでに環境教育が教育システムの中に統合され、1971年には基礎学校(義務教育)に「自然と環境」の科目が必修科目とされていた。そして、それ以来、環境教育の政治的順位は非常に高いものとなっている。白書NO.46(1988-89)「環境と開発」では、教育システムは持続可能な開発の課題に対処する重要役割を果たすものであると述べている。

コアカリキュラムは、ノルウェー教育・研究・教会省が作成し、国会が承認したものである。これに従い、6歳から16歳までの10年間に及ぶ義務教育が実施される。つまり、コアカリキュラムとはいわゆる日本における学習指導要領に当たるといって良い。

現在のコアカリキュラムは、1996年に改訂され、前半部分はノルウェーの教育理念ともいうべき「7人の人間像」、後半部分は各科目におけるガイドラインとなっている。

 

【7つの人間像】

1.存在の意義を求める人

2.創造的な人

3.働く人

4.一般教養を備えた人

5.協力する人

6.環境の大切さに目覚めた人間

7.人格統一された人

 

「7つの人間像」とは、義務教育における全学科において、その人づくりに向けて努力することが求められるものとなっている。したがって、その柱のひとつ、「環境の大切さに目覚めた人間」の育成に対しても、全ての教員があらゆる学科・学年で実施していくことが不可欠とされている。

では、ここでいう「環境の大切さに目覚めた人間」とはなにか。この内容は、まさに持続可能な社会を目指し、「児童生徒は生態学的で総合的な知識を身につけ、それを経済や政治などの社会化学的な知識と結合させ、倫理的に方向づけしていくことが求められる」と定義づけられているのである。以下に、コアカリキュラムに明記された概要を紹介する。

 

【環境の大切さに目覚めた人間】

我々が生活している環境が自然に依存することは減ってきており、反対に人工の世界に大きく影響を受けるようになってきている。人類の繁栄は新しいアイディアを開発したり、進んだ技術を利用したり、新製品を作ったり、昔からあった問題点をより優れた創造力と合理性で解決する能力に依存している。ここ何年間で、新製品が人類の生活を

 

 

 

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