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3-2. 「10年後の将来像構想図」の作成

 

生物多様性保全上の重要地域間の関係性を知るために、別添図3上図(1)で行った操作(コアエリアに1点、その他の重要地域に0.5点を与え、ある一点を中心に3k?uの枠を設け、その中に入る重要地域の面積に与えた点数を乗じて算出した値をその中心地の点数として全県下で計算し、点数の高低を色に置き換える)を現況の生物多様性保全上の重要地域において行い、その上から保全上重要地域の輪郭を重ね合わせ、現況の重要地域とそのつながりの関係性を併せて示したものが図別添図3上図(2)である。これは、現況の重要地域が守られ、全県に分布するコアエリアがつながった様子を示すものであり、近い将来における埼玉県のエコロジカル・ネットワークの方向性を示すものとして「10年後の将来像構想図」と名付ける。

図からは、距離的に近い同質的なネットワークと、河川水系のつながりを反映し、地帯間をつなく影響波及的なネットワークの2系が読みとれる。また、現況コアエリア間をつなぐ部分はコリドーであるとともに、コアエリアを人為影響から守る緩衝帯としても機能させるべき範囲であることを示すものと言える。

 

3-3. 「100年後の将来像構想図」の作成

 

さらに、エコロジカルネットワーク構想を取り入れコアエリアの保持・拡大や既存コアエリアの併合、コリドーや緩衝帯の環境改良、生態的重要地区のコアエリア化などの環境改善を緊急性を要する部分において図った場合、つまり図別添図3上図(2)で着色した全てをコアエリアとして、再度同様の計算を行い、その上から現況の生物多様性保全上の重要地域を重ね合わせたものが別添図3下図である。これを「展開ネットワーク図(100年後の将来像構想図)」とする。

 

3-4.今後の課題

 

本研究は、環境先進国のウエットランド保全に向けた取り組みを学び、我が国に望まれるヨン原の保護対策を検討した初年度、河川敷のヨシ原やハンノキ林の更新動態を明らかにして、攪乱を伴う水系ネットワークのあり方を探った次年度に引き続き、これらの成果を埼玉県に適用し、生物多様性の保持・発展を図った場合の将来像を描いたものである。

しかし、予算的・時間的に限られた中での取り組みであったため、市町村レベルの

 

 

 

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