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?Aの石灰岩土壌には、他の地質基盤では見られない特有の植物相や陸産貝類(カタツムリの仲間)などが遺存的に生育・生息することが知られている。このような場所は環境破壊に対し代替性がないため、生物多様性の保全にとって特に重要な場所となる。

?Bのサギ類が集団繁殖する樹林は、比較的小面積でありながら周辺に生息するサギ類の増減を左右する重要な役割を担う。

?Cのコウモリ類の分娩・越冬洞穴も?Bと同様、生物多様性の保全上重要な地区となる。また、生息地の周囲には餌を得る豊かな自然林が必要なため、周囲の自然林を緩衝帯として保全していく必要がある。

?Dの低地帯に残存する樹林地は、主に屋敷林や社寺林がそれに相当する。面積的にはわずかであるが、水田や都市域が広がる低地帯にあっては生物多様性保全上の重要な地区となり得る。また社寺林にいたっては鎮守の森として伐採の難を逃れているところが多く、自然環境を新たに創出していく際のモデルになり得る。この樹林地のデータは、現地・文献調査からではなく、ランドサット衛星から得られたものをコンピューター上で解析・抽出する。

 

1-5. コリドー(生態的回廊)の定義

 

コアエリア間の生物移動路や遺伝子交流落として機能していると考えられる線的な緑地・水系空間をコリドーとした。具体的には以下に示す地域を指すものとする。

?@河川空間

?A水辺の樹林地

?B谷地地形の上に湿性環境が残存する地域

?C台地縁辺や河川段丘崖に残る斜面林

 

 

 

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