1-6. コリドー(生態的回廊)の選定手法
?@の河川は、地帯区分間を貫流する水と緑地の連続した空間であるため、コリドーの機能を最も色濃く発揮する環境構造であるといえる。県域の主な河川をコリドーとして取り込むものとする。
?Aの水辺の樹林地は、水域内生態系に対し日照遮断・リター(落葉落枝)の供給・倒木の供給・硫化物補足および栄養元素の交換(水域へのフィルター・緩衝機能)の各機能が認められる河川沿いに細長く延びる緑地である。流域生態系が良好か否かを決定付ける重要な環境構造でありコリドーと緩衝帯の機能を併せ持つ。第2回自然環境基礎調査(植生調査)現存植生図(環境庁,1981)の凡例よりフサザクラ群団(タマアジサイ-フサザクラ群集,オニグルミ-アブラチャン群落を含む)・ケヤキ-イロハモミジ群集を抜き取り選定する。
?Bの谷地地形の上に湿性環境が残存する地域は、原生的な湿地環境の機能の一部が農耕の営みを通じて今に引き継がれた極めて重要な環境であると考えられる。生物の生息空間という機能からみるとコアエリアの一部を担うものであるが、その形状よりコリドーラインとしての働きが期待されるところである。埼玉県地理情報システム(埼玉県環境部提供)の谷底平野の凡例を取り込む。
?Cの斜面林は台地の縁辺部や河川の段丘に沿って見られる。連続性が認められるためコリドーとしての機能が期待されるが、実際には分断・孤立化・消失が著しく、連続性の確保が望まれる。水辺林と同様に緩衝帯の機能も併せ持つ。幅が狭いものや連続性を逸しているところは、ランドサット衛星の画像解析では拾い上げることが困難なため、航空写真から判読するものとする。
1-7. 緩衝帯の定義
コアエリアが担うべき機能を発揮するために、人間が及ばす影響からコアエリアを守るために設定する地域と定義する。
1-8. 緩衝帯の選定手法
埼玉の自然環境の現況を見た場合、設定したコアエリアに対する緩衝機能を果たしている地域は存在しないかもしくは特定が困難な状態にある。
したがって、現況評価図においては表現しないものとする。