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m以下のところが多く、開析が進行しており、谷は広く起伏の少ない地形をしている。秩父山地を成す基盤は、古生代から中生代にかけて形成された堆積岩、火成岩、石灰岩などで、形成後様々な変動を受けてきたため、硬く固結し、複雑な地質構造をしている。

中央部の丘陵は、北から南へ児玉丘陵・松久丘陵・比企丘陵・岩殿丘陵・毛呂山丘陵・高麗丘陵・加治丘陵・狭山丘陵と続いている。北部の丘陵は主に中新世の、南部の丘陵は主に前期更新世の地層により構成され、砂礫やロームが覆っている。これらの丘陵は、概ね高さ100m〜150mの高さを持ち、頂部には平坦面が残されている。しかし、斜面は開析が進み浸食谷が多くでき、起伏に富んでいる。

県内の台地は、主に、丘陵と共に県中央部に南北に連なる台地群-北から本庄台地、櫛引台地、江南台地、入間台地、武蔵野台地-と、低地の中に島のように存する大宮台地などとにわけられる。県中央部の台地は、秩父山地から流下する河川の扇状地および河岸段丘の複合した地形をしている。これらの台地は後期更新世の地層から成り、丘陵よりは開析が進んでおらず、平坦な台地上面をよく残している。大宮台地などは、内部に元荒川や綾瀬川・芝川・鴨川などの河川があり、これら河川の開析により分断されている。

県東部に位置し、県の1/3程の面積を占める低地は、年代的に最も新しく、最終氷期の海水面低下期に台地を開析した谷が、最終氷期以降の温暖化にともなう海水面の上昇(海進)などによって埋積されて形成された。大きな低地は荒川・中川・利根川沿いに発達し、荒川低地、中川低地、加須低地、妻沼低地などと呼ばれている。低地は、形成時期が新しいため、一般に軟弱な砂泥で自然災害を受けやすい。

 

1-2. 水系

 

埼玉県は、300以上の河川(総延長約4000km)からなり、大きく分けて利根川水系と荒川水系の2つの水系に区分される。利根川水系は、県の北部と東部の一部に限られており、殆どが荒川水系である。荒川水系は、さらに本流系と入間川系に分けられる。本流は甲武信岳に源を発し、大洞川・中津川などを集め秩父山地を浸食し深い渓谷をつくりながら秩父盆地に至り、寄居付近を通過、低地へと流れこみ、南東方向へ流下している。入間川系は、低曲・丘陵地帯から水を集め、本流系と低地帯で合流している。なお、低地の川の流れは、江戸時代の始めに瀬替えされて現在のようになった。

 

1-3. 植生

 

埼玉県内には、標高50m以下〜2,000m以上までの地域がある。そのため、高山帯を除く低地帯から亜高山帯までの垂直分布が認められる。自然植生の垂直分布は、西部から東部へ向かって、シラビソ-オオシラビソ林・コメツガ林を代表とする亜寒帯林、ブナ林・イヌブナ林を代表とする冷温帯林、モミ林・シデ林を代表とする中間温

 

 

 

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