資料1. 日本海重油流出事故関連インタビュー記録
1. 京都府
●京都府海洋センター 所長 篠田正俊氏(京都府宮津市)
●1997年11月10日(月)12:50〜13:50
●概要
(1)マリタイム・ガーデニア号油流出事故時の対応
・平成2年1月25日、リベリア船籍貨物船「マリタイム・ガーデニア号」(7000トン)が丹後半島沖で座礁.沈没。C重油など900トンが流出。
・周辺の磯根漁業・定置網漁業に被害発生(伊根町が最大の被害)。
・多量の油処理剤をヘリ・船舶より散布した(実施主体は災害防止センター)。
・京都府海洋センターとしては、「油処理剤は、以前に比べ毒性は減ったとは言え全く無害とは言えない。散布するにしても必要最小限にすべき」との情報を提供(2月9日)。
・事故後6ヶ月程度して、バイオレメディエーションを実施(詳しい事実は公表してない)。
和歌山の業者がフランス・エルフ社のバイオ製剤を売り込み(無料)
府下のある漁協管内で製剤(栄養塩)を散布。
散布した製剤の濃度管理がずさんであり湾の海水が変色した。
窒素,リンのモニタリング、岩礁帯の生物に悪影響が出た。実験は失敗であった。
(2)ナホトカ号対応
・海洋センターとしては特別の対応はしていない。
・水産生物の安全性確保が海洋センターの主任務であり、バイオ処理のような防災活動のは管轄外である。
(3)バイオレメディエーションについて
・バイオ処理については、上記の経緯もあり効果については疑問視。バクテリアを散布することに対する漠然とした不安がある。
・バイオ製剤よりも油処理剤の安全性見直しを優先すべきである(通産省通達の基準500ppmで本当に大丈夫なのか)。
・水産庁が油処理剤は安全ではないとの情報を出したので、今回は使えなかった(?)。
・油処理剤を散布した宮津海上保安署にヒアリングしたらどうか。
・バイオ製剤の環境影響については、近畿大学の藤田先生に研究を依頼している。未来工学研究所がやろうとしている「社会科学的アプローチ」は重要である。観光業者などは油が目先から消えてくれればいいとしか考えていない。アラスカでは、漁業被害もたいしたことなかったようだ。国情により汚染の影響は異なる。