また、適用を有効なものとするためには、対象地点(石油分解微生物の活動場所)において、栄養塩濃度や水分等を必要十分に高くしてやる必要がある。また、富栄養化の原因となる栄養塩(製剤)の拡散は極力避けねばならない。このため、これらの条件を満たすための適切な工学的手法の検討も必要である。
留意点6
現場における小規模野外実験は、現場適用の可否を判定するために行なうものであると共に、実際の適用計画の設計に必要なデータを収集するもとである。
実施にあたっては、処理区外に悪影響を及ぼさないよう適切なモニタリングを行ないつつ、適切な散布量を確保する。
処理区の他、処理区の影響を受けない場所に、対照区を設け、実施前、実施後(処理区)、実施後(対象区)の比較考察を行なう。
(解説)
小規模野外実験は、室内実験での知見を実際の現場で確認するために必要である。
野外実験に置いては、あらかじめ実験現場の生態系等実験前の状況を十分に調査するとともに、現場に置いて対照区を設ける等バイオレメディエーションの有効性、安全性の十分な確認をすることが重要である。
また、試験の実施にあたっては、実際の現場適用時と同様に、散布の際の専門家の立ち会いや散布後の現場海水中の窒素・リン・界面活性剤等の製剤中成分及び油分濃度に関する頻繁な測定、監視が必要である。さらに、自治体他地元関係者の理解と協力が必要であることも同様である。
なお、室内実験、小規模野外実験等で得られた結果は、あくまでも実験結果であり、実際の適用場面における(散布)規模の違い等を念頭に置いて、慎重に評価しなければならない。また、野外試験の結果によっては、室内実験に立ち戻り、再確認(または新たな試験)が必要な場合もありうる。