日本財団 図書館


重金属の不純物 所定の容量で用いた場合、環境基準値を上回らないこと

微生物(生菌) 分類学上の位置が確定していること

いわゆる病原菌でないこと

汚染現場の環境で生育できること

環境中でのモニタリング方法が確立できること

(解説)

バイオレメディエーション製材には、栄養塩を主成分とするもの、栄養塩に海面活性成分(分解剤)が加えられているもの、数種の微生物を主成分とするもの等、いくつかのタイプのものがある。

バイオレメディエーション剤の長期的・連続的な使用によって、生態系に及ぼす影響がないよう万全の配慮が必要であり、また実験により油の分解が確認された場合に、それが化学反応ではなく生物分解によるものであるとの実証のためにも、剤の成分が明らかにされていることが重要である。

具体的な成分が明らかにされていない場合には、化学分析によりある程度明らかにすることも可能と考えられるが、むしろこのような製材は適用の対象としないことが賢明である。

評価項目及び判定基準の設定に当たっては、米国の例を参考にした。米国では、エクソン・バルディーズ号事故後関連法規を整備し、国家緊急防災計画(NCP)を策定し、NCPに基づいてバイオレメディエーション剤、油処理剤の登録制度を設けている。この登録申請に必要な事項を元に評価項目等を整理した。

栄養塩として散布される窒素・リンは、過剰に散布した場合には、富栄養化を引き起こし、有害な藻類の以上増殖をもたらすおそれがある。

また、製剤中に含まれる溶剤、油親和性等の化学物質についても、生態系への影響評価が必要である。海面活性成分を含むものに付いては、界面活性剤(油処理剤)そのものの沿岸域での使用が原則的に控えられてるように、当該成分または乳化・分解された油が水中に流入した場合には、水生生物等へ影響を与えるおそれがあることに注意する必要がある。

なお、微生物の評価については、今後の研究開発の方向性を示す目的で設定したものであり、現時点での現場の使用を想定したものではない。

 

[微生物を含む製剤について]

微生物の添加が必要なのは、何らかの原因で現場に石油分解微生物が存在しない場合か、通常では生物分解できない油成分を分解しようとする場合である。

前者については、通常は、油流出事故が発生した現場では時間の経過とともに石油分解生物が増殖し油分を分解するので、よほど特殊な環境でなければ現場に分解生物がいないケースはないものと考えられるし、そのような特殊な環境下で外来生物が添加しても、生育できる可能性は極めて小さいと推定される。

後者についても、以下のように重大な問題がある。すなわち、油は、多種類の炭水化物の混合物であり、炭水化物の中には微生物が分解しやすいものとそうでないものがをある(一般に沸点の高いアスファルトやタールのような高分子は生物分解を受けにくいとされている。)。現在の研究開発レベルでは、複雑な構造を持つ炭水化物をわずかな種類の外来微生物を導入することによって分解する技術は開発されておらず、海外の事例でも外来微生物の導入により効果があったとされる事例は報告されていない。また、安全性の面でも、外来の微生物が増殖し

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION