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RCACには4つの技術委員会がある。石油汚染防止対策(OSPR)委員会、基地作業・環境監視(TOEM)委員会、港湾作業船舶交通システム(POVTS)委員会と科学諮問委員会(SAC)である。

RCACの常勤職員は1996年末現在で16人である。本部はアンカレッジにある。

 

5)RCACの課題

石油企業と地域住民のパイプ役として期待され発足したRCACも、いくつかの成果をあげてはいるが、設立後5年以上たって、問題点も出てきている。彼らの自戒を含めた回顧録“RCAC Retrospective:Thesuccesses and lessons of a citizens' advisory group”にも教訓や課題を伺い知ることができる。ここではこの回顧録を参考にRCACの課題をまとめてみる。

 

?@事故の風化による退潮感

事故から数年が経ち、汚染の後遺が薄れてくると、資金を提供する企業側においても、RCACの組織内部においても、自治体や住民側においても緊張感が薄れ、活動や改善意見にも迫力感がなくなってくる。企業側は年間200万ドルを越える資金負担をできるだけ抑えようとする。当初はRCACの特定の理事の熱意と行動力が組織を牽引していたが、いつまでも熱意に頼るわけにもいかず、組織の形骸化が始まっている。熱意は自治体メンバー間でも差が出始め、理事会にもほとんど出席しないような自治体も現れている。住民側の関心も薄れ、RCACを企業の味方をする機関とみなす人々も出てきている。

 

?A組織の役割分担

RCACの理事や常勤職員、委員会の委員の役割や権限がはっきりせず、調査結果への責任もあいまいであった。これらは、改善されているが、構成理事メンバーの変更(特に罷免)の規定がなく、弾力性に欠けている。

 

?B地域住民との接触不足

企業側とのリエゾン役は公式、非公式に十分果たしているようであるが、相手は共同運営会社であり石油輸送会社や石油精製会社との直接関係がないため、せっかくの提案が提案のままになることがある。一方、住民への情報提供や相談窓口的役割も通常は自治体や利益団体を通じて行われるので十分とはいえない。自治体メンバーを減らしてでも、もう少し住民よりのメンバーを増やすような方向が望まれる。

 

?C独立性の維持

企業側は資金を提供しているという意識が強く、実行に経費のかかる改善案などはできるだけ退け、企業側の意見を押し付けようとする。契約上、独立性を謳っていても外部から白い眼で見られる傾向もあり、活動の成果が見えない限り尻すぼみになる恐れもある。

 

 

 

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