日本財団 図書館


2.1.2 米国以外でのバイオレメディエーションの状況

米国で幅広く使用されている他に、バイオレメディエーションは国際的に受け入れられた改善ツールにもなってきている。以下に、そうした国際的な実績に関する利用可能な情報をいくつか示す。

 

(1)欧州

米国外、特に欧州での最近のバイオレメディエーションの動向と実績をまとめた優れた研究にグラス(David J.Glass)がまとめたものがある。それによると、欧州は米国に次いで2番目に大きなバイオレメディエーション市場で21世紀までには米国市場に匹敵するか、それを凌ぐと見積もられると断言している。ドイツとオランダが欧州の先導役であるとしている。両国とも生物学技術の公共および民間セクターの活動の長い歴史がある。グラスは2000年には市場は3億ドル〜5億ドル(米ドル)になると推定している。

特に、ドイツでは幅広いバイオレメディエーションの取り組みが進行中で、最初は速やかに進展したが、最近では、処理法の効果には関係しない理由のために市場の進展が遅くなってきている。ドイツの大規模中央土壌改善(レメディエーション)ステーションはバイオレメディエーションで約160万〜200万トンの土壌を処理しているが、これは1996年の市場で1億2千万〜1億5千万ドル(米ドル)に換算される。オランダ、スウェーデン、フィンランド、英国、フランス、およびイタリアがある程度までバイオレメディエーション活動を実行している。

 

(2)南アフリカ

オッペンハイマー(Oppenheimer)博士によると、博士の会社(The Oppenheimer Environmental Company)は南アフリカでいくつかの石油流出バイオレメディエーション・プロジェクトに関与してきた。例えば、1994年には、“Apollo Sea”と呼ぶ鉱石運搬船を巻き込んだ事故がケープタウンのリチャード湾辺りの南アフリカの湾岸で発生した。それによる流出のために石油が岸辺に押し寄せ、その結果、Sea PointからLlandudnoまでの浜辺を汚染した。そこで同社は環境問題省からRocklandsビーチの600平方メートルの区画を処理する許可を受けた。

 

(3)イスラエル

クアンタム環境技術社(Quantum Environmental Technologies)はイスラエルのハイファ(Haifa)ビーチで同様のバイオレメディエーション・プロジェクトを手掛けている。

 

(4)インドネシア

エピコア・ネットワーク社(Epicore Networks Inc.)は環境に敏感なマングローブ環境の中に位置した石油流出バイオレメディエーション・プロジェクトを手掛けている。その報告によると、実施されたこのバイオレメディエーション・プログラムにより、自然の生物分解速度が向上し、環境へのマイナスの影響はなかった3という。

 

3Double Successfor Eqicore,FINACIAL News(1996年10月)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION