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6月から8月にかけて、重油を除去せずに残しておいた汚染海岸である無南垣(なむがい)の岩場をバイオ実験場として利用した(図1-2)。実験に客観性をもたせるため東大海洋研究所など第三者機関に評価などを依頼した。その結果、バイオ製剤の海洋生物への影響は特に見受けられなかった。また、デジタルカメラによる油汚染改善効果についても一定の効果が見受けられた(図1-3)。

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このように、画像解析結果では、一定の効果は認められたものの、用いられた米国製バイオ製剤の成分が明らかにされなかったため、どのようなプロセスをへて効果が発揮されたのかが明確でないことが、最大の課題であると評価されている(東京大学海洋研究所大和田紘一教授)。

 

1.4.2 京都府網野町におけるバイオレメディエーション実験

京都府網野町には1月9日に重油漂着情報が入り、その夜には重油が漂着した。しかし荒天で湾内にオイルフェンスを張れる状況ではなかった。

町内の海岸は岩場と砂浜が半々であり、汚染海岸掃除のため砂浜には民間ボランティア、岩場には自衛隊が入った。

網野町総務課の費用負担で、5月に滋賀県の「大周」という業者が持ち込んだ米国製バイオ製剤20袋を塩江コハツメ(磯場)に散布した。波で洗われてしまったので、効果があったのかどうかはよくわからなかった。浜詰浦漁協の組合長は、微生物に対する特別の不安はなかったが、バイオ処理についてはもう少しきちんとしたやり方でやるべきだったと述懐している。

 

 

 

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