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海岸に散布する実験を行った。しかし、大方の自治体や漁協は、バイオレメディエーション実施に対して不安感があり、実施は見合わせたところが多い。

これに対し水産庁と環境庁は、1997年2月6日の「ナホトカ号油流出事故の流出油及び漂着油に対する処理剤等の利用について」という配布文書の中で、油処理剤と並んで、バイオ技術などの利用については、以下のように述べている。

「(1)バイオ技術などの活用としては、例えば、石油を分解する微生物を活性化させる栄養剤を使用する方法や栄養剤とともに微生物を散布する方法がある。現場の状況によっては、その有効性が異なり、また、使用方法によっては、栄養剤が窒素、燐酸を含むものであることから、海水の富栄養化が生ずる可能性や微生物の散布による海洋生態系に与える影響の可能性も考慮する必要がある。

(2)このため、今後とも、これらの調査・研究を推進して、その技術的有効性や環境への影響などを明らかにするとともに、実際の使用に当っては地元漁業協同組合及び自治体等の理解と協力を得ていく必要がある。」

 

1.3 バイオレメディエーションの実施状況

上記のような経緯はあったものの、兵庫県、京都府、福井県の複数の地域において、バイオレメディエーション実験が実施された。以下は、バイオレメディエーション実施状況を把握するために行った現地インタビュー調査の概要である(詳細は資料編参照)。

◆調査実施時期:1997.11/1997.12/1998.3

◆調査対象機関:

京都府:府立海洋センター/網野町役場/網野町浜詰浦漁協/近畿大学藤田藤樹夫教授

兵庫県:香住町柴山港漁協/但馬水産事務所

福井県:県環境政策課・水産課/三国町役場/越前松島水族館

その他:大周(民間業者:滋賀県大津市)

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