10 寄港国の考慮
以下の事項は,寄港国当局に対する,当該当局のバラスト水管理計画の履行並びにバラスト水内に存在する有害な水生生物及び病原体に関する危険性査定のためのガイダンスである。
10.1 バラスト水漲水港/排出港間の顕著に異なる条件
仕出港とバラスト水排出港との間に,著しく条件が異なることがある。
清水バラストの,塩分の高い港への排出等がこれに該当する。
このような極めて厳しい条件化の移送においてさえも生き残ることができる生物の存在は否定できないが,このような移送条件化における種の定着の可能性はかなり低い。
10.2 バラスト水年齢
また,閉鎖されたバラストタンク内にバラスト水を長期間積載しつ続けることも,光の欠如,栄養分及び酸素の減少,塩分濃度の変化等の要因を理由として,生き残っている生物の数を決定する要素となる。
しかしながら,バラスト水内での各種生物の最長生存期間はまちまちであり,また,ほとんどのものについては不明である。
100日以上タンク内に積載され続けたバラスト水の危険性は,これらの点を考慮に加えても,最小限度のものと考えられる。
バラスト水及び沈殿物は,はるかに長期間生存することができる渦鞭毛藻シスト及びその他の生物を含んでいる可能性がある。
10.3 標的生物の存在
10.3.1 1種類以上の標的種が特定の港の水中に存在し,かつ,船舶にバラスト水と共に漲水されてしまったかどうかについて決定することは,一定の状況の下で可能となる。
このような状況下において,バラスト水を受入れる寄港国当局は,このことに応じた管理方策を実施することができる。
たとえこのような種が存在しない場合といえども,船舶は,新たな水域に放出された場合に有害となる可能性を秘めている多くの非標的種を運搬していることに留意しなければならない。
10.3.2 寄港国に対し,国内諸港における生物学上の限界線調査を実施し,また,当該調査結果を広く知らせることを奨励する。
11 寄港国による執行及び監視
11.1 環境保護への予防的アプローチとして,本ガイドラインは,寄港国当局の管轄範囲