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2.2 国内における検討

 

わが国におけるリバラスト代替手段の検討は、次の報告書等でまとめられている。

なお、対象生物は、いずれも有害プランクトンである。

 

・(社)日本海難防止協会(1991):外航船舶のバラスト水に含まれる有害プランクトンによる海洋汚染実態調査

・(社)日本海難防止協会(1992):平成3年度バラスト水による有害プランクトン伝播対策の調査研究事業報告書

・(社)日本海難防止協会(1993):平成4年度バラスト水による有害プランクトン伝播対策の調査研究事業報告書

・(社)日本船主協会(1995):音戸丸第46次航海における調査結果

 

以下には、それら結果をまとめた。

 

(1)安全証明(無害証明)

安全証明の考えは、日本の港湾の中には有害プランクトンが全く分布しない港湾もあると思われること、分布する港湾でも有害プランクトンの増殖が1年のうち特定の時期に限られ、増殖期以外の分布量は激減していると推測されたことで、多くの港湾や船舶に対して、有害プランクトンの伝播媒体とはなっていないことを証明できる可能性があると予想されたことにはじまっている。

調査研究結果は、次のようにまとめられる。

・有害プランクトン(Alexandrium属)のシストが多数分布する港湾において、船舶がバラスト水を漲水してもシストの取り込みは認められない。また、有害プランクトンの遊泳細胞がバラストタンクに取り込まれても、取り込まれる量が少ない場合には、オーストラリア航路の航海中にタンク内で死滅していた。これら結果から、有害プランクトンの伝播は、有害プランクトンの遊泳細胞が港湾の海水中に多量に分布する時期に漲水によってタンク内に取り込まれ、死滅する前にシストに変わる場合に限られると推定された。

・有害プランクトンが伝播しない目安(安全証明の発行基準)は、Alexandrium属では、遊泳細胞合計30細胞/L(遊泳接合子 2細胞/L)と考えられた。

・安全証明発行のための調査(検査)は、港湾を対象にするものと船舶を対象にするものが考えられ、係わる費用は、港湾で約65万円/1回・1地点,船舶で約10万円/1回・1タンクと算出されている。

 

 

 

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