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としての危険性を評価して船舶の最低要件を定める手法とは、考え方が異なっているので、それらを合わせることは困難である。

? S(S/P)コード物質がすべて危険物に取り入れられる場合、現在夜間に荷役開始が可能であった物質が危険物に指定され、夜間に荷役開始が実施できなくなるため、輸送効率の低下・航海数の減少を招き船主経済に影響を与える。

一方、B案はばら積み液体危険物の分類区分、容器等級を判定するという過程を経るものの、次の利点を有している。

? 危険物質の性状等から判断して、従来の分類区分および容器等級のうちいずれに該当するかを判定することは、さほど困難なことではないこと。また、判定の結果はかなり客観的であること。

? 分類区分及び容器等級を判定した後は、港則法危険物選定基準表を適用することが出来るため、従来の危険物と統一的一体的な形で「ばら積み液体危険物」を港則法の体系に取り込むことが出来ること。

 

以上のとおり、選定手法の見直しについて再調査・検討を行ったところ、従来どおりのB案が採用さることとなった。

 

3.2 まとめ

今般、ばら積み液体危険物の選定手法について、委員会において再調査・検討を行った結果、従来どおりの選定手法が採用されることとなった。

また、従来から問題点(検討すべき事項)として掲げられていた量の概念については、危険物を選定する際に考慮するのではなく、危険物に選定された後の段階、つまり、荷役許容量の中で検討すべきとの結論に至った。

さらに、発災危険と被災危険に対するウェイトの置き方については、ウェイトの置き方によって危険性の判断・危険物の選定の仕方にそれほど影響があるとは思われないが、港則法においては事故が生じた際に港内の船舶交通への影響、港の安全・秩序、旅客への被害等を考慮して港則法上の危険物を選定しているので、基本的に被災危険を重視することとなった。

今後の課題として、荷役方法、運航形態(RO‐RO船等)による荷役許容量の新基準設定のための調査・検討が望まれる。

 

 

 

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