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技術動向などの技術情報が挙げられている。

一方、陸上分野や航空機分野などに進出している(あるいは新規参入しつつある)兼業企業では、造船分野に関する情報は比較的入手し易いとし、造船分野以外に関する情報を挙げた企業も多い。具体的には、引き合いに結びつくような営業情報、大型プロジェクトに関する情報、新技術情報、受注単価情報などである。

 

(3)情報システムの導入可能性と課題

?提案システムへの意見

日造協本部が提案する情報収集・提供システム及び情報ネットワークの構築計画については、主旨や基本的な考え方に対して、おおむね賛成という意見が多数を占めたが、実現性については一部に疑問視する声もあった。また、日造協の役員や基盤対策委員を除けば、システム案についての情報が不足しており、導入意図やシステム内容についての理解が不十分であった。

調査時点で「早期に導入したい」とした企業は3社あったが、全般的な傾向としては、明確な導入意向や具体的な提案意見は少なかった。これは、システムの実現化に向けた具体的な方法論・内容やスケジュールが提示されていなかったためでもあろう。

導入の際の問題点として、扱う情報内容(コンテンツ)の重要性が指摘されるとともに、そもそもライバル企業同士でもある加盟企業が相互に役立つ情報を提供し合えるのかどうかという根本的な疑問の声もあった。

「時代の流れ」からパソコンやインターネット利用を当然祝する意見がある一方で、企業規模や体質等の多様性を理由にパソコンの新規導入の難しさとFAX併用の必要性を指摘する意見もあった。既にパソコンの導入が進んでいる構外・兼業の企業では問題がないが、半数程度の企業では「日造協による教育指導」を望んでおり、これらの中には、現実の問題としてオペレータの確保が困難な企業もあった。

さらに、システムの導入に関しては、「組合単位での活用」、「一部をスタートさせて徐々に改良を加え行く」などの意見・提案もあった。

?経営課題解決の可能性について

提案システムの導入・活用による現在の経営課題の解決可能性について伺ったが、全般的に業種・地域・親企業の違いにより必要とする情報が異なることを理由に、否定的な見解・意見が多く、期待感はそれほど高いとはいえない。

しかし、その一方で、情報ネットワークシステムに過大な効果を期待せずに、できるところから徐々に始めるべきとの意見も多く聞かれた。

具体的なメニュー・情報内容についての提案として、「副資材・工器具・消耗品の価格・新製品情報」、「業種別労働力情報(職人登録データベース)」が複数社から出ており、その他にも、「同業他社の単価情報や取引先価格情報」、「線表」、「会員間の譲渡・購入希望コーナー」、「業界の景況動向指標」、「パソコン用経理処理ソフト」、「運送業者の返り便のリアルタイム情報」、「安全衛生・災害情報」などが挙げられた。

なお、前述のライバル企業同士であることを背景に、受注単価や工賃については

 

 

 

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