日本財団 図書館


3. 利用者基本ニーズ調査

 

(1)調査結果の要約

平成8年度実態調査において、「情報収集・提供システム及び情報ネットワーク」の必要性を認めた企業のうち、業態・業種、所在地域、従業員規模等によるバランスを考慮し、15社を抽出、調査員による訪問面接調査を実施した。

主要調査項目は、情報の収集・活用の現状、日造協本部提案の情報システムの導入の可能性と課題、日造協並びに基盤強化対策委員会への意見・要望の3点である。

業務対象領域の違い(造船分野に留まる企業と、非造船分野である陸上分野や航空機分野などへ多角化を図る企業)から、企業が抱える経営課題や今後の経営方針は当然異なるものの、日造協本部提案の情報収集・提供システム案には、概ね賛同する意見が聞かれた。

 

(2)情報の収集・活用の現状

?情報の入手先と内容

構内・兼業の業態を問わずほとんど全ての企業が、情報の入手先の約7割以上を親企業(取引先大手造船会社)からとし、経営に関する重要情報を得られるルートとして、特に重視している。親企業からの情報は実務に即している内容であるとともに、技術指導や機器貸与が伴う場合もある。

毎月の工程会議・懇談会・協力会社部会等の場では生産計画、受注情報、新技術情報などを、また年1〜2回開催の生産説明会や組合連絡会などの場では中長期の受注見通しや業界動向に関する情報を得ている。

業界紙誌や一般紙。経済紙の定期購読は少なく(親企業からの回覧誌を利用している企業も多い)、閲覧していてもさっと目を通す程度であるなど、経営情報として重視している企業はあまりない。

一方、情報入手ルートとして個人的な付き合いを非常に大切にしている。取引先役員・同業者・出入り業者などとの昼食会・懇談会・個人的な交際などの場では、頻度は少ないものの有益な情報が得られるとしている。

また、ローカル情報や一般的な経済情報は経営にあまり役立ないとの理由から、地元の経済団体・地域団体との関係作りにはあまり積極的ではない。一部の企業は、異業種交流会などに参加し幅広い情報入手に心がけている例もある。

?必要としている情報

多くの企業が、人員の手配・確保の前提となる「仕事量の見通し」に関する情報と採算性判断のための「請負作業単価」や「支払工賃」に関する情報を必要としている。具体的な内容としては、大手造船各社の長期的な受注情報並びに協力組合・個別企業の受注見通し、詳細な受注情報(船種や受注背景など)、同業他社に関する情報(構内作業に関する実質単価、職種別実質工賃、職種別需給逼迫度、臨時工への工賃・支払条件、事業所別の本工・下請工比率)、人材情報(臨時雇い労働者の職能別情報)などである。その他の必要情報として、新材料、新加工技術、将来を見据えるための

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION