3)熱負荷対応
高出力化に伴う熱負荷の上昇に対して最も影響を受けるのはピストンであり、可容性中子の開発は、冷却空洞付アルミピストン(1・7図)の製作を可能とし、シリンダに設けたオイル主管に設置した固定ジェットノズルからのオイルジェットにより冷却し、熱負荷の上昇に対処してきた。
しかし、現在の出力レベルに対し、従来のアルミ材では、熱負荷並びに、機械的負荷においてほぼ限界に近くなってきているため、アルミ材でも強度が高くて高温維持も良い溶融鍛造アルミ(ハイキャスト)、あるいは強度の高い薄肉のダクタイル鋳鉄(FCD)材が採用されてきた。
FCDピストン(1・8図)は、アルミピストンに比べ、高温での強度低下が小さく、高負荷に耐えることができる。また燃焼室の周りの冷却空洞を充分に取れ、それをピストン頂部近くまで上げられるハイトップリング構造とすることが出来るので、燃焼室の無駄容積を小さく出来、燃焼性能の改善にもなる。
シリンダヘッド燃焼面の冷却は、従来の弁間ジェット冷却からキリ穴による強制冷却方式を採用し、冷却効果を上げている。