2.7 結論と展望
【2.7のポイント】
Windows CEをさまざまな機器に搭載しようとするマイクロソフト社のねらいの背景は何か。今後、携帯情報機器の利用はどのようになっていくのか。
90年代前半よりマイクロソフトは一貫して、個人用携帯機器のプロジェクトを推進してきた。いくつかのプロジェクトが起こり、縮小し消えていったが、ようやくWindows CEという製品を世に送り出すことができた。
これまでみてきたようにWindows CEは当初の携帯情報機器用OSから「非パソコン」の共通プラットフォームとしてあらゆる機器に展開されようとしている。そこでキー・ポィントとなるのは個人や家庭への普及であると思われる。
かつてのキャプテン(CAPTAIN)11のようなニューメディアは、家庭への情報通信メディアとして普及を期待されたが、ディジタル・メディア固有の「おもしろさ」や「うれしさ・楽しさ」を十分に伝えることができず、後にインターネットに代表される新興ディジタル・メディアに取って代わられることになった。
これは以下のような要因で段階的に進んできたものといえる。
●第一段階
1993年頃よりCD-ROM(コンパクト・ディスクを使った読み出し専用メモリ)装置を内蔵し音声や画像を扱うことができるマルチメディア・パソコンが各社より発売されたこと12。
●第二段階
1994年頃よりインターネットにアクセスするためのブラウザ(閲覧ソフト)が無償配布され世界中に普及したこと13。
●第三段階
インターネットに接続し通信を行うための手順(プロトコル)が整備され、それをWindows 95のようなOSが標準で搭載したこと。
これらを見ても、ここ数年の情報通信メディアの展開は、パソコンが牽引役として展開してきたと言える。1997年現在こうした流れに変化が起りつつある。