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2章 情報ネットワークと通信端末の現状及び進化の方向性の分析

1概論

マルチメディア型観光情報の収集・提供システムのあるべき姿を検討しようとする時、具体的な情報ネットワーク及び通信端末の技術的進歩を把握した上で、それらをいかに効果的に組み合わせるかがひとつのポイントとなると考えられる。

郵政省によれば光ファイバーによる高速通信回線の敷設計画が前倒しとなり、2 0 0 5年までに全世帯に高速大容量の通信インフラが整備される見通しとなった。

こうした環境が実現すると、情報流通の面でさまざまな変化が起きることが予想される。一例をあげれば、CATV経由での地上波TVの番組コンテンツの配信はもちろん、電話をふくむ各種情報のいわゆるフルサービスが実現することになる。

教育、雇用等の面でも、通信インフラに依存したテレラーニング(遠隔学習)やテレワーク(在宅型雇用)等が進展し、社会構造にも大きな影響を与えるであろう。基本的に「家で情報を取得したり、学んだり、働いたりする」時代の到来である。

こうした時代において、観光情報の収集・提供のシステムを考える時、情報のマルチメディア化、提供システムのマルチメディア化は避けて通れないと考えられる。

観光情報のマルチメディア化について検討するにあたって、前提となるのが、情報流通の基盤となる情報ネットワークの方向性であり、情報をやりとりする端末系の機器の特性と進化の方向性である。

現状において顕著な傾向はネットワークの高速化、通信料金の低下、通信端末の高性能化と価格の低下、小型化等である。これらはいずれもマルチメディア型情報の普及にとって追い風となっている。

またメディアや機器の関係でいえば、インターネットを核としたメディア連携や端末機器間の連携が進展していることがあげられる。

いずれにしても進化と変化の速度はきわめて速く、状況は時々刻々と変化するといっても過言ではない。

なお、情報のデジタル化のメリットを改めて整理すると、次のようになる。

?データの編集、加工、蓄積が容易であり、データの複製に伴う情報の欠落、劣化が起こらない。

?情報の統一的な編集、加工、蓄積が可能になる。

?情報をデジタル化して保持することで、多様なデジタルメディアに対する情報提供が可能になる。

先に述べたように、消費者が入手する情報の量は飛躍的に増大しているもののその有効な利用がなされているのか、必要とされる情報が入手できているのかを考える時、「情報の洪水」等と表現される情報過多の状況が指摘できよう。

また、インターネットやパソコン通信に代表されるネットワーク型の情報提供手段が普及しつつあるものの、これらのメディアは基本的にプル型メディアであり、こちらから情報を取りに行かなければらないという特性がある。こうしたメディアにあっては、その人の情報リテラシ-とも言うべき情報取得のスキルが重要な意味を持つ。結果的に個人間の情報入手の格差が拡大することが懸念される。

こうした問題を解決する1つの方法として、近年はプッシュ型サービスが台頭してきた。プッシュ型サービスは、現在はPointCastが代表的で、ユーザーの選択により必要とする情報だけを入手することができる。しかし、この技術も総体として個人が取得する情報量が急増する現在おいては、問題を根本的に解決するには至っていない。

 

 

 

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