日本財団 図書館


2 調査の背景

(1)マルチメディアの進展

近年のコンピュータの普及に象徴されるように、取り扱われる情報のデジタル化は社会のあらゆる場面で進行している。コンピュータ、特にパソコンの低価格化と高性能化、そしてまたインターネットやパソコン通信に代表されるネットワークの普及がマルチメディア型情報の流通の基盤となった。

マルチメディアの定義は技術的な観点からなされているものが多く、必ずしも消費者の側からの表現とはいい難い面もある。しかし、情報がより表現力の豊かなマルチメディア環境の中で伝達されていくことは、伝達力を増すことであり、時代のニーズでもあるといえよう。

情報のデジタル化の進展は今後ますます加速し、あらゆる情報がマルチメディア型の情報として統合的に管理され流通する時代が視野に入ってきている。

(2)マルチメディア型情報提供への消費者ニーズの高まり

マルチメディア型情報といっても、その内容や提供の形態、提供メディアは多種多様である。しかし全体的に見て、マルチメディア型のデジタル情報の情報発信量は確実に増加している。

マルチメディア型情報について検討する前提として、社会全般における情報の流通量の変化を見てみると、平成7年度までの10年間における日本のすべての情報流通量は3.8 2倍(1.0 3×10の16乗ワード)に、発信情報量は2.79倍(1.3 3×10の16乗ワード)に、消費情報量は1.67倍(2.23×10の16乗ワード)にそれぞれ増加している。

(注)「ワード」は日本語の1語に相当。

すなわち、情報そのものの流通が激増している時代なのである。

その中でも、デジタルデータを扱うネットワークや機器の利用者の増加は著しい。情報機器では携帯電話、パソコン、PDA、カーナビゲーションシステム、ネットワークではインターネット、パソコン通信等、デジタルが時代のキーワードとなってきている。

観光分野においてもこうした時代の流れと無縁でいることはできない。多種多様な消費者の情報ニーズ、そしてまたそれに対応した情報提供のニーズの中で、マルチメディア型観光情報はどうあるべきか、その収集から提供にいたる流れをどのように構築していくべきかについて、各方面への郵送アンケート調査やヒヤリング調査により探ることにした。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION