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1 本調査におけるメディアの範囲と調査の目的

(1)メディアの範囲

メディアという言葉は広義に解釈され、さまざまに用いられるが、本調査においては「マルチメディアによる観光情報提供の可能性の検討」という調査テーマに沿って、基本的にデジタル技術による不特定多数の対象に対する情報伝達の仕組みとしての情報ネットワークとこれに対応する通信端末を中心に取り上げる。

しかしながら、コンピュータの進歩と呼応しつつ、情報がデジタル化されて蓄積され、流通する時代にあって、これらのデジタルデータの流通について考察する時、単にデジタルデータやマルチメディア型情報のみについて考えるだけでは十分とはいえないであろう。幅広く、従来型のメディアも視野に入れた上で、多くのメディアの間の連携も考えながら、マルチメディア型観光情報のあり方を検討すべきだと考える。

また、どのようなメディアであれ、情報が流通するためには、それらのメディアと対応した人の営みが不可欠である。マルチメディア型のネットワークであっても、そこに情報をもたらす人のネットワークがなければ、マルチメディアのメリットが活かされることは、はなはだ疑問であるといわざるを得ない。

本調査においては、主にマルチメディア型情報の流通を担う情報ネットワークであるインターネット、パソコン通信、デジタル衛星多チャンネル放送、FM多重・TV多重放送、CATV等について検討した。また、デジタル情報の通信端末であるパソコン、インターネットTV、カーナビゲーションシステム、マルチメディアゲーム機、携帯電話・PHS、PDA、デジタルスチルカメラ、さらにはファックス、ポケットベルについても検討した。

(2)調査の目的

提供情報のマルチメディア化が進む中で、消費者にとってどのような観光情報入手のシステムがあれば良いのか、従来型メディアによる情報提供とマルチメディアによる情報提供の実態及び消費者・観光産業界等のニーズを収集し、分析検討した。

具体的な調査項目の骨子は次のようなものであった。

?マルチメディア化が望ましい観光情報とはどのようなものか。

?観光情報のマルチメディア化に関して、情報の送り手側(観光業界)と受け手側(旅行者)の間のズレはないか、それはどのようなズレか。

?観光情報のマルチメディア化に際して、情報の送り手側(観光業界)と受け手側(旅行者)の各々に内在する問題とは何か。

これらに対する郵送アンケート調査・現地ヒヤリング調査の結果分析を基に、マルチメディア型観光情報の収集・提供のあるべき姿を探り、更には具体的なシステムのイメージを描き出そうとした。

 

 

 

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