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また、水蒸気等の影響による疑似海氷域が現れることがあるため、Weather filterとして、以下の3つの条件を満たす場合にはその地点の密接度をゼロとすることにした。

 

・GR=(TB37v-TB19v)/(TB37v+TB19v)>0.05  (NASA Team algorithm)

・GR'=(TB22v-TB19v)/(TB22v+TB19v)>0.045  (長ら(1996))

・TB22v-TB19v>12  (館山ら(1998))

 

さらに、水界線および陸域の周辺海域では疑似海氷域が現れることが多いため、長ら(1996)によるLand filterを用いた。これは、大気の影響とは別にどの時期も水界線に沿って疑似海氷域が現れるという現象に対応しようとしたもので、3×3のグリッド内に1つでも陸の情報が検知されると、中心のグリッドは陸の影響を受けて見かけ上の海氷密接度が増加しているとみなし、その海氷密接度を3×3のグリッド内で最も低い値に置き換えるというものである。その原理図を図3.16(c)に示す。

 

3.4.4 結果と課題

 

図3.15(a)〜(c)から、それぞれのアルゴリズムを用いて計算された海氷密接度分布の比較を行なう。まだ数例しか試してないが、傾向としては、先に述べたようにNASA Teamアルゴリズムは密接度が低めに現れ、もう一方は高めに表される。今回、検討したアルゴリズムはこれらの中間的な値をとるように見える。

最も、両者ともその値はパラメータや代表的輝度温度の設定によって左右されるために、オホーツク海におけるその値の決定には充分な検討が必要であり、単純な比較は難しい。

図3.19(a)〜(c)は今回得られた海氷密接度の分布図を表し、ここではフィルタの効果について比較する。図3.19(a)は、フィルタなし、(b)は、Weather filterのみ使用、(c)は、WeatherおよびLand filter使用、としたものである。図3.19(a)と図3.19(b)の比較では、例えば、(a)でカムチャッカ半島南西部沿岸域や南沖の海域にみられる水蒸気による疑似海氷域は、(b)では、かなり取り除かれていることがわかる。また、(b)と(c)の比較では、沿海州付近、カムチャッカ半島沿岸域、北海道西岸沖等の海域で、まだ不満は残るものの、Landフィルタの効果はみられる。

次に、図3.20.1〜3.20.10は、今回の計算結果(a)とNOAAの可視画

 

 

 

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