像(b)および気象庁海氷観測資料の海氷図(c)で、それぞれを比較をするために用意した。選別した日は、現在、手元にある可視画像と同じ日付にあわせた。ただし、海氷図は可視画像と同じ日がない場合には、最も近い日を選んだ(図の左上に“参考”と付してある)。また、図3.20.11〜3.20.13はオホーツク海における流氷初日の頃(93/12/5)、終日の頃(94/5/31)、流氷の全く存在しない夏季(94/9/1)のものである(図3.20.11〜図3.20.13の可視画像(b)および図3.20.13の海氷図(c)はなし)。その結果、冬季、夏季ともやはり陸域の影響が残るが、オホーツク海においては今回用いた19GHz水平偏波のみ使用のアルゴリズムでも海氷密接度の推定にかなり有用なものであることがわかった。
ただし、上記でも述べたように、Weather filterおよびLand filterは密接度推定の精度向上に有効であるものの、まだ改善の余地が残されているほか、数値的な対比による詳細な比較を行なうことが今後の課題である。
図3.21(b)は、全球を対象とした、1グリッドが約50km×50kmのSSM/I輝度温度データを使用したもの(図3.21(a)は図3.15(c)、3.19(c)および図3.20.1(a)と同じ)で、ほぼ同様の結果が得られた(図のスケールや範囲は両者で異なる)。ただし、1グリッドが大きいためにオホーツク海程度の規模では少々目が粗く感じられる。しかし、陸域の影響が現れにくく、オホーツク海よりもさらに規模の大きな地域を対象とする場合にはかなり有効なものになると考えられる。また、1日2回以上のデータが入手できているほか、約25kmメッシュのデータセットよりもより短い時間で取得できる、等の利点もある。
今回、19GHz水平偏波のみ使用のアルゴリズムを検討した結果、海氷密接度の推定にはある程度、使用に耐えうることがわかった。しかし、風の影響等によって輝度温度のずれが生じることがあるほか、エラーデータが存在することが度々あるために、精度向上を目指す上でも、今後、多周波および多偏波のデータを用いたアルゴリズムを検討していく必要があると考えられる。