上の式のT0、TIは、二つのチャンネルのデータセット(1と2)から以下のように決定される。
図3.13の点B、I及びOのチャンネル1と2の輝度温度を(T1B、T2B)、(T1I、T2I)及び(T1O、T2O)とする。また、Bは観測値、Iは海氷域、Oは開氷域に相当する。
線ADに沿ったIは点Bと同じタイプをもった密接度100%の海氷域であると仮定する。点Iは線ADと、線OBの延長線上の交点から決定される。
点Oは開氷域での最も低い輝度温度に近く、OAとOWの交点に近い。OWは開氷域のデータを示す線分である。線OIに沿った各点はIと同じ種類の海氷からなる様々の密接度に相当する。
線AD上のOBの延長線上の交点の座標は以下の式で与えられる。
T1I=(T1A-T1O-T2ASAD+T2OSOB)SOB/(SOB-SAD)+T1O-SOBT2O (3.14)
T2I=(T1A-T1O-T2ASAD+T2OSOB)/(SOB-SAD) (3.15)
ここに、SAD、SOBは線ADと線OBの傾き、(T1A、T2A)は線AD上の点であり、(T1O、T2O)は開氷域での基準輝度温度である。
点Bにおける海氷密接度は(3.13)式か、線OBとOIの長さの比から以下の式から得られる。
C={[(T1B-T1O)2+(T2B-T2O)2]/[(T2I-T2O)2+(T1I-T1O)2]}1/2 (3.16)
T2Aが0のときは、T1AはY切片(Offset値)である。また、図3.13左上の北極域のHV37データセット散布図には(AD-5°K)の線が点線でひかれているが、この線より上のデータについてHV37データセットによる方法が適用され、それ以外についてはV1937データセットによる方法が適用されている。
この理由はHV37データセットは海氷と開氷域が季節変化をするような地域や氷縁付近ではV1937データセットの方が良い結果を与えるからである。
南極域では季節変化が大きいことかV1937データセットのみが使用される。
また、Comisoアルゴリズムにおいても開氷域でも海氷と判断する地域があり、フィルターを設定している。
このフィルターには19GHzと22Ghzの輝度温度の差がある閾値より大きい場合は海水密度は0と判断される。