また、NASAチームアルゴリズムは開氷域に海氷を検知することのないようにフィルターを使用している。
このフィルターはGR(37/19)とGR(22/19)の閾値を利用しており、GR(37/19)が0.05より大きく、かつGR(22/19)が0.045より大きいとき、海氷密接度は0.0にセットされる。
最初のフィルターはSMMRデータでGR(37/18)がウェザーフィルターとして用いられていたものを受け継いだものであり、二番目のフィルターは水蒸気の影響を考慮したものである。
(2) Comisoアルゴリズム
Comisoのアルゴリズムは1986年SMMR用に考案した手法をSSM/Iに適用したものである。
このアルゴリズムは北極域の中心のように海氷密接度が常に100%であるような多年氷に覆われた地域と、1年氷が卓越するような地域とでは用いているマイクロ波の周波数が違う。
図3.13左上の図は1992年1月の北極域でのSSM/Iデータから、37GHz垂直偏波に対する37Ghz水平偏波の値の散布図である。図からわかるように37Ghzの両偏波間の相関は非常に高い。これが大部分の北極域でこのデータセット(HV37セット)を用いる理由である。また、37GhzはSSM/Iの中でも比較的分解能が良いチャンネルである。85GHzはさらに分解能が高いが、大気の影響等を強く受けるため、あまり用いられてはいない。
図3.13の右上の図は1年氷が卓越する1992年9月の南極域での37Ghz垂直偏波に対する19GHz垂直偏波の散布図である。このV1937データセットを用いたのは航空機やヘリコプター等の観測結果と良く一致したからである。
線ADに沿ったデータはHV37に比較して、V1937はばらつきが大きいが、季節変化をするような地域では良い精度をもっている。
海氷密接度CIは観測輝度温度をTBとすると以下の式で与えられる。
CI=(TB-T0)/(TI-T0) (3.13)
ここに、T0、TIは開氷域と海氷の基準輝度温度である。この場合の海氷は様々の種類のものを含んでおり、また、T0、TB及びTIは大気による影響も全て含んだものである。