図3.11を見ると19GHzにおいては2種類の海氷に対する両偏波間の差は海水のそれに較べて小さいことがわかる。また、一年氷と多年氷の識別には19GHzより37GHzのほうが優れている。
NASAのアルゴリズムはこの二つの特徴を、以下に定義された放射比を用いることでパラーメーター化している。この二つの放射比、PR(Polarization Ratio)とGR(Spectral Gradient Ratio)は次のように定義されている。
PR(19)=[TB(19V)-TB(19H)]/[TB(19V)+TB(19H)] (3.8)
GR(37V/19V)=[TB(37V)-TB(19V)]/[TB(37V)+TB(19V)] (3.9)
ここに、TB(19V)は19GHzの垂直偏波に対する輝度温度を表している。
上の各々の輝度温度について(3.7)式を作成し(3.8)、(3.9)式に代入することで2類の海氷に対する密接度を表す以下の式が得られる。
CIA=(a0+a1PR+a2GR+a3PRξGR)/D (3.10)
CIB=(b0+b1PR+b2GR+b3PRξGR)/D (3.11)
ここに
D=c0+c1PR+c2GR+c3PRξGR (3.12)
である。
トータルの海氷密接度CTは2種類の海氷密接度の和である。(CT=CIA+CIB)
係数ai、bi、ciは開氷域及び2種類の海氷域でのSSM/I観測値から得られる9個の輝度温度から決定されている。
この9個の輝度温度はアルゴリズムTie Pointと言われ、式(3.10)〜(3.12)の係数と共に表3.2に示した。
図3.12には北極域及び南極域でのPR-GRの観測値の分布と、アルゴリズムを示してある。図中の数字は出現度数の対数をとってある。
図3.12の(a)は1988年3月22日、(b)は1987年9月25日であり共に冬季後半のデータである。OWは開氷域(Open Water)、FYは一年氷(First Year Ice)、MYは多年氷(Multi year Ice)に相当する。