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3.3 海氷アルゴリズム

 

アルゴリズムとはいくつかの測定データを利用して物理パラメーターを決める一連の手続きである。海氷の物理パラメーターとは海氷の分布密度(密接度)、氷厚冠雪の有無、厚さ及び熱物性等であるが以下に述べる海氷アルゴリズムは海氷の密接度の評価を行うためのものである。

密接度は極域における開氷面の変動による熱輸送等に関連し、海氷の最も重要な物理パラメーターの一つである。

また、本章で用いている海氷のマイクロ波データは主に、アメリカ国防総省によって打ち上げられたDMSP(Defense Meteorological Satellite Program)のSSM/I(Special Scanning Microwave Imager)データを使用している。

SSM/Iは19、22、37及び87GHzの四つの周波数を測定でき、22GHzを除いて水平、垂直の偏波を測定することができる合計7つのチャンネルをもっている。表3.1にはSSM/Iの各チャンネルの特性を示した。空間分解能は周波数の高いものほど高く85GHzで16×14km、19GHzで70×45kmである。

 

(1) NASAチームアルゴリズム

 

このアルゴリズムはNimbus-7号に搭載されたSMMR(Scanning Multichannel Microwave Radiometer)データに対して、1986年Cavalieri等によって開発されたものであるが、1991年同じくCavalieri等によってDMSP(Defense Meteorological Satellite Program)に搭載されたSSM/I用に改良された。

観測された輝度温度は三つの異なる種類の表面からなっていると仮定されている。三つの異なる表面とは開氷域、二つの異なる種類の海氷(北半球においては1年氷と多年氷、南半球では観測が不足のためAタイプ、Bタイプとして使用)である。

観測された輝度温度は以下の式で表される。

 

TB=TBWCW+TBIACIA+TBIBCIB  (3.7)

 

Cは分布密度に相当し0.0〜1.0の範囲をとり、CW+CIA+CIB=1.0である。

TW、TIA、TIBは三つの異なる表面での各々の輝度温度である。三つの異なる表面を区別する基本となっているマイクロ波領域の放射率は1979年に、ノルウェーのリモートセンシング実験グループが作成したものを利用している。(図3.11)

 

 

 

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