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そして放射率は(3.5)及び(3.6)式で与えられる。

 

EV=1-rV  (3.5)

 

EH=1-rH  (3.6)

 

放射率の変化は海氷の生成、成長そして衰退過程、海氷内のブラインの分布状況等による誘電率の変化によるものである。

海氷のマイクロ波放射特性について様々の研究者による研究結果を以下に述べる。

図3.2は佐々木によって観測されたオホーツク海の港内海氷の6.7GHzと18.6GHzに対する輝度温度の理論値と観測値である。また、海水の輝度温度も比較のため同時に示してある。これによると海氷の輝度温度は海水に比較して偏波依存性が著しく小さいことがわかる。

図3.3はWilheitによる1年氷及び多年氷に対する観測結果であるが一年氷の方が多年氷に比較して放射率が高い。また、観測角が45度の場合にも放射率の差は海水の場合に比較して小さい。これは海水に比較して海氷の方がマイクロ波に対する透過率が高いため、内部での散乱が大きくなるためである。

図3.4はGrenfellによる37GHzと19GHzの垂直偏波による海氷の厚さによる輝度温度の変化の例である。1〜1.5cm以下では両周波数共、輝度温度の減少が見られ、それより厚いとほぼ一定であることがわかる。

また、図3.4は同時に放射率の周波数依存性も示している。図3.5はTroyらによる異なる氷種間での放射率の比較である。14〜90Ghzの間で1年氷、若年氷、新生氷及び多年氷の放射率を比較している。多年氷を除いてあまり周波数には依存していないことがわかる。多年氷の放射率の急激な低下はWilheitとTroyでやや異なっておりWilheitの方が低い周波数で放射率が低下している。

図3.6は新生氷、若年氷及び1年氷に対する放射率の理論値と観測値である。新生氷が最も放射率が高く、1年氷が最も低い。また、周波数が高くなると共にその差は小さくなることがわかる。

図3.7はComiso(1983)がNimbus-7に搭載されたSMMRの観測から異なった周波数に対する放射率の出現度数を表したものである。一年氷、多年氷及び両者の混

 

 

 

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