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3.2 海氷のマイクロ波特性

 

海氷には様々の種類があり、極域における年数を経過した多年氷(multiyear ice)、生成されて間もない新生氷(new ice)、生成され時間は経っているが夏には消失する一年氷(first year ice)等がある。また、海氷上には冠雪や、夏季間の多年氷に見られる水たまり(melt pond)の存在も考えられる。

海氷のマイクロ波領域の輝度温度は海氷の分布状況(密接度)、海氷の厚さや冠雪によって影響を受ける。また、センサーの種類、分解能によっては海氷の種類等の区別が困難になる。地表面近くのセンサーは単一海氷のピン-ポイントに近い測定を行うことができるが、衛星からの測定では様々の種類の海水を含んだ広い範囲の放射を反映している。

航空機によるマィクロ波測定では、氷の種類の区別ができるほか、氷丘(hammock)、水路(lead)、水たまり(melt pond)や氷丘脈(ridge)のような特徴と観測された輝度温度の比較等を行うことができ、衛星によるものより細かいスケールの情報を得ることができる。

これらの海氷の種類によってマイクロ波領域における放射率が異なるために、様々の海氷の情報をマイクロ波から得ることができる。放射率は以下のように定義されている。

放射率eは黒体と考えたときの放射量をBbbとし、実際の放射量をBgreyとすると

026-1.gif

である。Tbbは物体の絶対温度、Tgreyは輝度温度(Brightness Temperature)である。

輝度温度(放射率)等のマイクロ波に対する氷の諸特性はすべて氷の電気的特性によるものである。誘電率ε'si、虚部をε"siとすると複素誘電率は以下の式で表される。

ε=ε'si-iε"si  (3.2)

マイクロ波に対する偏波別反射率は以下の(3.3)及び(3.4)式で表される。海水についても同様である。

026-2.gif

 

 

 

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