合物の判定には、幅広い放射率を有する高い周波数が適することがわかる。
図3.8は同様にComsio(1983)による1年氷と多年氷に対する放射率の経年変化である。
1年氷では10月から6月まで放射率がほぼ一定であったものが、7〜9月で急激に低下している。一方、多年氷では10〜5月の間一定であったものが6月から7月にかけて上昇を見せた後減少に転じる。全周波数に対する放射率では1年氷ではほぼ一定であるが、多年氷では0.7〜0.9と周波数に依存している。
上の結果は冠雪のない場合の海氷の放射特性について述べたものであるが、実際の海氷は冠雪を伴っているのが普通である。図3.2の佐々木によるオホーツク海の海氷においても冠雪の影響が見られる。すなわち、冠雪は二つの周波数どれでもその影響が見られ、輝度温度の増大をもたらしている。
マイクロ波を利用して海氷の様々の情報を得るには海氷の種類や、その置かれている状況とマイクロ波放射特性の関連をあらかじめ知っておく必要がある。
そのためには海氷を正確にあらわすモデルを作成し、マイクロ波特性を評価する誘電特性を一般化することである。しかし、海氷は場所、時間に大きくことなり一般化することは容易ではない。図3.9はComiso(1983)によって作成された海氷モデルで、図3.10は同様にComisoによって作成された1年氷と多年氷に対するマイクロ波放射特性の季節変化モデルである。