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2.3 マイクロ波放射計

 

地球の表面を構成する物質は熱放射によって電波も放射している。電波帯における地球の熱放射の絶対量を測定し、地表面あるいは大気の状態を観測するセンサが放射計(radiometer)である。

放射計で観測される輝度温度は、一般に地表面の各種性質および途中の伝搬媒質の影響が複合したものである。このため観測量から特定の物理量を推定するためには、それぞれの影響を除去できるような周波数や偏波を組み合わせた多チャネル放射計が利用される。

図2.10は40GHz以下の周波数について、それぞれの物理量が変化した時の輝度温度の変化率を表したもので最大の変化率の値で規格化してある。この図からわかるように、各対象物に対してそれぞれ効果的なマイクロ波の周波数があるが、それをまとめると表2.2のようになる(NASA、1987)。この表で、●はそのパラメータを推定するのに不可欠な周波数、◎は次に重要な周波数、○は利用できれば役に立つ周波数を表している。

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2次元的な映像データを取得する際には、地表面の影響が大きい周波数帯では入射角一定のコニカル走査方式が、また地表面の影響を無視できる周波数帯ではクロストラック走査方式が向いている(図2.11)。

マイクロ波放射計では、信号にくらべて雑音が大きいため、色々な工夫が必要である。さまざまな方式のうち最も単純な方式に全電力放射計がある。この他にDicke型放射計、さらに高感度化を図った方式としてゼロバランスDicke方式等がある。

 

 

 

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