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免疫細胞化学と同様に酵素細胞化学も、生体膜中の酵素分子をその分子自身が持つ酵素活性を利用して標識することが可能である。しかし、酵素細胞化学はその優れた特徴を有しているにも拘わらずこれまでレプリカ細胞化学に導入されることなく長らく忘れ去られていた。酵素細胞化学を用いたレプリカ細胞化学(レプリカ酵素細胞化学)が可能となれば、好中球に存在するNAP分子の局在やその2次元分布様式について更に多くの情報を提供してくれるであろうし、又特定の細胞内顆粒の同定とその構造・機能解析にも役立つものと考えられる。レプリカ酵素細胞化学に関して、藤本・小川,大野・藤井らによって先駆的な仕事がなされているが、酵素活性の局在を示す反応産物をレプリカ膜に残し、レプリカ膜と対応をつけることは容易なことではなかった[10,13]。我々は凍結割断レプリカ法と酵素細胞化学を組み合わせたレプリカ酵素細胞化学を開発した[17,18,22,23,24,26]。

我々が開発したレプリカ酵素細胞化学は上記の困難を解決したものであり、大きく分けて3つの方法からなる。?@Label-fracture法:酵素細胞化学を行った後に凍結割断してレプリカ膜を作製する方法、?AFracture-label法:凍結割断しレプリカ膜の作製を先に行いその後酵素活性を検出する方法、?Bレプリカ免疫・酵素細胞化学法:同一レプリカ膜上で免疫細胞化学と酵素細胞化学を行い多重標識する方法である(図-13)。

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