3 種々の疾患のNAP scoreの再評価と地域病院における様査法のシステム化
さて、この新しいNAP染色法による種々の疾患のNAP scoreの再評価であるが、慢性骨髄性白血病、貧血、妊娠中毒症、手術中の人工心肺・麻酔薬の影響等の症例が集まりつつあるが、症例がまだ少なく今後の検討課題として残った。
又、新しい検査法が地域中核病院で可能となるシステム作りも検討した。臨床検査に用いる遠心機さえあれば好中球分離はさほど難しくなく、又、グルタールアルデヒドで固定した検体は安定であり、クール宅急便等を使用し自治医科大学へ送ってもらうことにより、全国各地から翌日には検体を回収することができる。
地域中核病院で末梢血より好中球を分離・固定までしたものを、自治医科大学・第一解剖学教室に送ってもらいNAP scoreを算出するシステムが実際にうまく働くか否か、長野県立こども病院の協力を得て行った。共同研究者である同病院医師・川上が採血した末梢血より好中球を分離、グルタールアルデヒドで固定して、クール宅急便を用いて自治医科大学へ送ってもらった(図-11)。翌日には検体が到着し、その検体にてNAP活性が検出できることを証明している。このシステム作りによって、地域の病院から必要に応じて検体を送ってもらうことにより、翌日にはNAP scoreの正確な判定が可能となることが期待できる。今後、NAP活性検出のための試薬をキット化することにより、地域の病院で正確なNAP scoreの判定が可能となるのと思われるので、そちらの方面でのシステム作りの検討も進めていきたい。