?U.方法
自治医科大学卒業生名簿より、自治医科大学卒業生が勤務しているへき地診療所216施設を対象とし、郵送により自記式アンケート調査を行った。アンケート内容は、診療報酬、リハビリテーション担当者、リハビリテーション・理学機器の有無と使用頻度、補装具の処方経験等に関してであった(付録)。
統計解析はMacintosh社製パーソナルコンピュータを用い、Stat View-J4.5にて行った。
?V.結果
自記式郵送法によるアンケート調査は、216診療所中141診療所65.3%から有効な回答が得られた。
理学療法I、作業療法I、在宅訪問リハ指導料、老人理学療法I、老人作業療法、寝たきり老人訪問リハ指導管理料等といったリハビリテーションに関連する診療報酬に関しては、141診療所中、社会保険で41診療所29.1%で、老人保険で46診療所32.6%で算定しているに過ぎなかった(図1)。
リハビリテーションの主たる担当者は、医師、看護婦であり、理学療法士が担当しているのは18診療所、また行っていないと答えた診療所は12診療所であった(図2)。その他の担当者としては、保健婦、ヘルパーといった回答があり、診療放射線技師がといった回答も認められた。
リハビリテーション関連機器の有無と使用状況については(図3)、牽引器が多くの診療所に普及し、利用されている一方で、ローラーベッド、平行棒、歩行器の普及は回答のあった診療所の約20〜30%であった。電気治療器、マイクロウエーブ、低周波治療器、ホットパック、車イス等は40〜60%の設置状況であった。いずれの機器も、設置施設の約半数においてよく使われており、あっても使わないのは5%前後であったが、もっとも普及している牽引器はあっても全く使わないのが30%に達した。
補装具の処方に関しては、アンケート項目のいずれか1つでも処方した経験のある診療所は72診療所51.1%であった(図4)。装具、歩行補助杖の処方経験は割に多かったが、他は20%にも至らなかった(図5)。身体障害者診断書の発行経験は42%があると回答した(図6)。
卒後教育としてリハビリテーションの教育を受けたことがあるのは18人13%にすぎず(図7)、紹介患者にリハビリテーションの具体的指示が書かれていた経験は26%であった。(図8)相談システムの必要性に関しては回答者の多くが感じていた(図9)。出張技術指導に関しては、肯定的な意見が76%を占め(図10)、条件としては、報酬の問題や、出張頻度、現行のシステムとの整合性などがあげられていた。