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〔?[〕岐阜県内のC型肝炎ウイルス(HCV)高感染地域における肝疾患,とくに肝癌発生に関する分子疫学的研究

 

杉山 照幸 東白川村国民健康保険病院

 

I.はじめに

HCV関連抗体が測定可能になって以来、HCV高感染地域が相次いで報告され,それらの地域で肝機能異常者が多発していることが明らかになっている.また,原発性肝癌の80%近くがHCV関連肝癌と診断され1),HCVは我が国の肝疾患の主要な原因と見なされるに至っている.我々は岐阜県内のある地域の肝癌の訂正罹患率を検討したところ基準集団のおよそ3.1倍の罹患率であった。そこで,肝炎ウイルスに関する疫学調査を実施したところ,HBs抗原陽性率は全国平均と大差なかったが,HCV関連杭体の陽性率は約10倍であった2)。今回は8年間の住民検診における肝機能と抗HCV抗体の経過を観察し,抗体の力価の相違による肝機能異常者の発現頻度の相違と,新規感染,自然治癒の有無についても検討を加えた.肝機能異常例やウイルス陽性例は追跡調査を行い、臨床的には生化学的検査や画像診断を実施し、ウイルス学的には核酸レベルでの解析も行い、ウイルスの解析結果と肝疾患、肝癌発生の頻度や分布との関連性を分子疫学的に解析した.

さらに,この地域のHCV保有者の分布,HCVの核酸解析,肝疾患の推移および肝癌の発生との関連を検討した.また,新たな肝炎ウイルス(TTV3))の関与も検討した。

 

?U.対象地区の概要

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