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討した。さらに検診時に採血した血清を用いてH.pyloriおよびC.pneumoniae感染の有無を評価した。

H.pylori感染の診断は、ELISA kit(Bio-Rad)を用いて血清の抗H.pylor IgGを測定し、C. pneumoniae 感染の診断は、ELISA kit(日立化成)を用いて血清の抗C.pnetInoniae IgGを測定して行った。

データの比較は水道の種類、水洗トイレの有無、H.pylori陽性率、C.pneumoniae陽性率に関してはχ2検定を用いて行った。Housing Index,肉類や海産物週平均摂取日数の連続変数に対しては3群間比較についてはKruskal-Wallis testを用い、さらに2群間比較に対してはMann-Whitney U検定を用いた。P<0.05を有意差ありとした。

 

?V. 結果

 

A)各地区におけるH.pyloriおよびC.pneumoniaeの感染率

函館地区、浦和市、紀和町におけるH.pylori陽性率は、それぞれ80人中34人(42.5%)、69人中24人(34.8%)、36人中25人(69.4%)であり、χ2検定にて有意差を認めた(P<0.003)。紀和町の感染率は最も高く、函館地区、浦和市とそれぞれ有意差を認めた(P=0.007,P<0.001)。

C.pneumoniae陽性率は函館地区80人中28人(35.0%)、浦和市69人中38人(55.1%)、紀和町36人中10人(27.8%)であり、χ2検定にて有意差を認めた(P=0.009)。特に浦和市は、函館地区、紀和町と比較し有意に高かった(P=O.014,P=0.008)。

 

B)水道の種類による分類

10歳時の水道の種類による感染率の違いを検討した。上水道、簡易水道、井戸水使用者のH.pylori陽性率は、それぞれ87人中28人(32.2%)、33人中14人(42.4%)、64人中41人(64.1%)であり、χ2検定にて有意差を認めた(P<0.001)。特に井戸水使用者の陽性率は、上水道、簡易水道使用者よりそれぞれ有意に高かった(P<0.001,P=O.042)。

Cpneumoniae陽性率は、上水道43.7%、簡易水道45.5%、井戸水35.9%で有意差を認めなかった。

水道の3種類と各地区との関連性は認められなかったが、上水道の有無と各地区との間に関連が認められたと函館地区、浦和市、紀和町における上水道使用者は58.8%,39.1%, 37.1%であり、有意差を認めた(P=0.023)。なお、各地区における井戸水使用率には有意差を認めなかった(函館地区26.3%、浦和市40.1%、紀和町42.9%)。

 

 

 

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