[?Z]Helicobacter pyloriおよびChlamydia pneumoniae感染の地域性と感染経路の検討
大津博之 自治医科大学総合医学I
川上正舒 自治医科大学総合医学I
菅原 斉 函館共愛会病院
中島滋人 紀和町立紀和診療所
小林永幸 佐久間町立干曲病院
児玉和久 南種子町立病院
I. はじめに
Helicobacter pylori(H.pylori)感染症は、消化性潰瘍、慢性胃炎、胃癌の病因に関与しており、わが国においても広く研究が行われている。その感染率は、一般に開発途上国では高く欧米諸国では低いと報告され世界的に地域差が認められている。
最近では海外の文献において消化器疾患だけではなく、冠動脈疾患患者においてH.pylori感染率が高いとの報告やChlalydia pneumoniae(C.pneumoniae)菌がアテローム動脈硬化性病変から検出されたとの報告が散見されるようになり、より広く成人病の原因と関わる可能性があるのではないかと注目されている。しかし、H.pyloriの感染経路については不明な点が多い。
そこで今回の研究では、H.pyloriおよびC.pneumoniaeの感染率に地域差が認められるかどうかを検討し、その地域の生活背景と感染との関係を調査した。
?U.対象と方法
対象地区は、東京近郊の浦和市、海産物を多く摂取すると考えられた函館市、および海産物の摂取が少ないと考えられた三重県の山間部に位置する紀和町とした。対象人数および平均年齢は函館地区80人(男性28人、女性52人、39.7歳)、浦和市69人(男性6人、女性63人、42.9歳)紀和町36人(男性12人、女性24人、41.2歳)で、浦和市の対象者は主に健康な医療関係従事者である。1997年度住民検診にて20歳以上の検診受診者187名に対して生活環境のなかで、肉類や海産物の摂取状況(週平均摂取日数)、10歳時の(1)水道の種類(上水道、簡易水道、井戸水)、(2)水洗トイレの有無、(3)Housing Index(居住人数÷部屋数)を検